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知らないと交渉で損する影響力とは?

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交渉に必要な影響力

 

 会社などに勤めると、他の会社と交渉する場面が訪れるかもしれません。そうでなくても日々の生活の中で小さな交渉は頻繁に起きています。

 今回紹介するのは、ポピュラーなところもありますしマイナーな部分のあります。

 そして出来れば、本記事の内容を使えるよになるだけでなく注意して行動できるようになることも心がけて頂ければ、より交渉を上手く進めることが出来るのではないでしょうか?

 それでは参ります。

 

その服装が成功を決める

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 今の世の中、お手軽な説得のテクニックは五万とありますが、そもそも交渉は服装レベルの話で成功の有無が左右します。

 そして服装に関する説得の科学では、恐らく社会心理学のL・ビックマンの研究が有名でしょう。(1)

 

 簡単に言えば、彼は服装によって「道路に散らばったゴミを拾ってもらう」や「第三者の駐車場料金を支払う」という、ちょっと無理がありそうな要求をしました。

 結果としては、カジュアルな服装の時よりも警備員の服装を着ている時の方が2倍近くも要求を呑んだのです。

 

 同様の調査はイギリスでも行われ、人がヘルスケアの専門家からの注意を覚えている確率は、聴診器を首にぶら下げているかどうかでした。(2)(診察時に使用する必要ない)

 諸研究では、ビジネススーツを着ている人が歩行者信号を無視をすると、その後をついて行く人の数が他の服よりも3.5倍も高くなりました。(3)

 ここからは分かるのは、誰かに初めて会う時は自分の知識と信頼に合わせた服装にしておくと説得の基本原理である「権威」の恩恵を得ることが出来ます。

 さらに重要なのは「類似性」であり、これはいわゆる共通点です。

 これから説得する相手となる集団の服装(カジュアルかなそれともスーツかな?)を考えた上で服装を考えた方が良いでしょう。

 「スーツ以外で取引先に行くのが怖い」という方は、何もジャージで行けとは言いません。

 そこは幅を利かせて、かたっ苦しいスーツで全身を固めるのでなく、会議の際はネクタイを外したりワイシャツ姿になって相手との類似度を測りましょう。

 

 

最初の提示が成功を決める

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 皆さんは交渉をする際にどちらが先に値段を提示していますか?

 可能な限り交渉では、先に提示したいものです。

 というのも、社会心理学者のA・ガリンスキーとT・マスワイラーが実施した研究では、選定を取るのが明らかに正解のようです。(4)

 

 実験では、与えられた役柄が買い手だろうと売りてだろうと、最初に提示するように指示された人はほとんどいつも、相手の出方を伺うように指示された場合より好成績を出しています。

 ある実験の一つでは、工場買収という設定で買い手側が最初に提示した場合には売り手側が最終的に合意した売却金額は平均で1970万ドル(約24億円)だったが、売り手側が先に提示したパターンでは併進して2480万ドル(約30億円)になった。

 

 このような結果には一種のアンカリング効果も含まれるでしょう。

 アンカリングとは、「この商品は2000円で売ります」と最初に提示された後、「やっぱり1000円で良いよ」と言われると、とても徳をした気分になります。

 これは最初の提示が基準になっているからです。ただし一つだけ注意して欲しいのが、非現実な提示は効果を発揮しないとう事です。

 100円の商品を300円で売るなら分からなくも無いですが、それを10万円で売ろうとしたら相手は全く取り合ってくれなくなるでしょう。

 あくまでも現実的な範囲に止めておくのがポイントです。

 

社会的証明の落とし穴?

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 皆さんはお客さんや取引先で、世間話的に「最近は○○をする人が多いですね」という話をしたことがありませんか?

 肯定的な話ならまだしも、自社に否定的な話を匂わせてしまうのはリスクがあります。

 これに気づいて、注意しないと後々足を引っ張る要因になります。

 ある研究では、社会的証明のネガティブ効果を調べる為に、研究チームが「化石の森国立公園」から木が盗まれてしまうのを防ぐために看板を立てました。(5)

 

・「これまでに公園を訪れた多くの人が化石木を持ち出した為に、森の環境が変わってしましました」

・「公園から化石木を持ちだすのを止めてください。化石の森を守るためです」

・ 何もしない

 

 そして来訪者に知られないように、ワザと化石をばら撒いてその様子を伺いました。

 さて、この三つの内どれが化石を多く盗ませたでしょうか

 なんと三番目以外の看板では、全て盗まれる確率が上がっていたのです。(これには管理人も化石になる勢いでしょう)

 皮肉にもネガティブな社会的証明(化石を持ち出す人が多い)を強調した看板では、そうでない看板よりも盗まれる確率が3倍も上がっていました。

 さらに2012年に実施された別の研究では、保健所が前月の診査予約をすっぽかした件数を目立つところに貼り出したら、翌月にはさらに診査予約をすっぽかした件数が上昇しました。

 これは看板を見た人が「こんなに多くの人がやっているなら、一人くらい増えても構わんだろ」と考えたためです。

 さて、あなたが説得力を高める時どうしたらいいでしょうか?

 例えば、会議の欠席者が多いことをに頭を抱えている場合は、「欠席者が多い」というのではなく、「多くの人はちゃんと出席しており、欠席者はごく少数だ」と差別化を図ることで、新たに欠席者を増やす可能性は減ります。

 交渉でもそうですが、他の会社に行って仲良くなったからと言ってネガティブ社会的証明が働くような言動には注意して下さい。

 交渉は面と向かって話す以前に、会社を出た時点で始まっています。

 

交渉場所が優勢を決める

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 簡単に言わしてもらえば、「ホームアドバンテージ、地元有利」が存在するのか?という事です。

 よく相手の国で試合をするとアウェイなんて言いますが、それは交渉でも働くのか?

 行動科学者のG・ブラウンとM・ベーアは、ある研究を行いました(6)

 

 人を雇って二人一組にして、片方は購入者でもう片方は販売者役でした。

 二人は値段交渉をめぐって議論を重ねますが、購入者は「なるべく安く」、販売者は「できるだけ高く」売ろうとしました。

 さらに「ホーム状態」と「訪問者状態」、つまり交渉を行う人が自分のホームに居るのか相手のホームに居るのかでどれだけ差が出るのかを調べました。

 因みに自分のホームに呼ぶ場合には、部屋の内装を好きなようにアレンジすることが可能でした。

 

 結果としては、購入役か販売役であるかは関係なく、自分のホームに居る人の方が話を有利に進めることが出来ました。

 このことから、説得交渉の場はどこを会場にするかと言った一見些細な決定が、思うより大きく結果を左右するのです。

 相手の会社に呼ばれて交渉をする時は、この事実を思い出して、ネクタイをきつく締め直して交渉に望まないといけないという事が分かります。

 なので出来るだけ事前に、中立公正の場としてホテルを設定するか、あわよくば自分の会社に呼び出したいところですな。

 

終わりに

 

 まぁ、他の交渉についての話ではマイナーな部分もあると思いますが、「そんな小さなところも重要なんだな」と思って頂ければ幸いです。 

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 何卒よろしくお願い申し上げます。

 ではまた。

 

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参考文献

 

書籍

 

 

論文

 

・(1) Bickman, L. (1974). The social power of a uniform. Journal of Applied Social Psychology, 4(1), 47-61.

・(2) Castledine,G. (1996). Nursing image: It is how you use your stethoscope that counts! British Journal of Nursing, 5(14), 882.

・(3) Lefkowitz, M., Blake, R. R., & Mouton, J. S. (1955). Status factors in pedestrain violation of traffic signals. Journal of Abnormal Psychology, 51(3), 704-706.

・(4) Galinsky, A., & Mussweiler, T. (2001). First offers as anchors: The role of perspective-taking and negotiator focus. Journal of Personality and Social Psychology, 81(4), 657-669.doi:10.1037/0022-3514.81.4.657

・Leventhal, H., Singer, R., & Jones, S. (1965).  Effects of fear and specificity of recommendation upon attitudes and behavior. Journal of Personality and Social Psychology, 2. 20-29.

・(5) Cialdini, R. B. (2003). Crafting normative messages to protect the environment. Curent Directions in Psychological Science, 12, 105-9.

・ Cialdini, R. B., Demaine, L. J., Sagarin, B. J., Barrett, D. W., Rhoads, K., & Winter, P.L. (2006). Managing social norms for persuasive impact. Social Influence, 1, 3-15. 

・(6)  Brown, G., & Baer, M. (2011). Location in negotiation: Is there a home field advantage? Organizational Behavior and Human Decision Processes, 114(2), 190-200. doi:10.1016/j.obhdp.2010.10.004

・ Courneya, K. S., & Carron, A. V. (1992). The home field advantage in sports compe-titions: A literature review. Journal of Sport and Exercise Psyhology, 14, 13-27.