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お金や物が幸福感を維持できない科学的な理由

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宝くじは人を幸せにするのか?

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 1970年代にノースウエスタン大学のフィリップ・ブリックマンが経済面で夢がかなったとき、人の幸福になにが起きるか研究を行った。(1)

 イリノイ州の宝くじで莫大な賞金を引き当てた人たちに連絡をとった。同時に比較対照グループとして、別の参加者を無作為に選びだした。

 そして全員に自分の現在の幸せと、将来どれくらい幸せになりたいかを答えてもらった。

 さらに、毎日どれくらい楽しいことがあるかについても訳ねて、得られた結果からは宝くじが当たろうとハズレようと、幸福度に大きな違いはない事が分かった。

 実際、異なる点は一つだけだった。

 それは宝くじに当たった人に比べ、当たらなかった人のほうが日々の単純なことがらに喜びを見いだす度合が高かったのである。

 給料と幸福と関係を調べた研究でも、同様なパターンが見られたイリノイ大学のエドディーナーの研究では、フォーブス長者番付トップ100に入る人たちでさえ、平均的なアメリカ人よりごくわずかにしあわせなだけだった。

 心理学者デヴィッド・マイヤーズは「名声や財産に対する人間の適応能力のおかげで、昨日の贅沢も、たちまち今日には当たり前に、そして明日には思い出になってしまう」と指摘している。(2)

 

プラス思考はホントに効果ある?

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 自己啓発の本やセミナーで興味深いのは、与えられている助言が既存の科学的な研究結果と一致しない点だ。

 たとえば、「プラス思考」

 幸せへの道は、マイナス思考を頭から閉め出しさえすれば、本当に開けるのだろうか?

 研究報告によると、そのように思考を抑えつけた場合、実際にはふさぎ虫が減るどころか増えてしまう可能性が高い事が分かっている。

 1980年代の半ばに、ハーバード大学の心理学者ダニエル・ウェグナーは単純な実験をしてみた。(3)

 参加者に一人ずつ部屋に入ってもらい、ドストエフスキーの白い熊のことだけは考えないようにと頼んだのだ。

 そして禁じられた熊が頭に浮かんだら、そのたびにベルを押してもらった。

 するとベルの音があちこちで鳴り響き、考えを抑制しようとすると、人はかえってその考えにとり悪かれてしまうのだ。

 ニューヨーク州ハミルトン大学では2006年に12人が対象として、思考の抑制が人の気分と自信にどのような影響をあたえるかを検証した。(4)

 参加者全員に自分の欠点を書き出してもらい、半数の人たちに11日間は欠点を考えないように伝え、残りの半数には普通に暮らしてもらった。

 また全員に、一日ごとに自分の欠点についてどのくらい考えたかを書きだしてもらい、その日の気分、不安レベル、自信を評価するよう頼んだ

 結果は自分の欠点について考えまいとしたグループは、普段以上に欠点について考えていた。

 そして思考を抑制したグループは、普通に毎日を過ごしたグループにくらべ、自分は不安であり、陰鬱で、自信がないと答えた。

 

なぜ買い物は幸福にならないのか?

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 心理学者のリーフ・ヴァン・ボーヴェンとトマス・ギロヴィチは、はたして幸福はお金で買えるのか?を調べた。(5)

 二人はまず全国的な調査をおこない、回答者に自分が幸せになるためにお金を出した品物と体験を書き出してもらい、買物で自分の気分が高揚した割合を答えてもらった。

 つぎの調査では、参加者を任意に二つのグループに分け、片方のグループには自分が最近買った品物を、もう片方のグループには最近の体験を書くように頼んだ。

 そして現在の気分を二通りに評価してもらった。悪い(マイナス4)からよい(プラス4)までと、悲しい(マイナス4)からしあわせ(プラス4)までの二通りである。

 すると、どちらの調査でも短期的・長期的な幸福感の両方で、体験を買うほうが品物を買うよりも人の気分を良くするという結果がでた。

 品物は時間とともに汚れたり流行遅れになったりして、その魅力を失うが、体験は幸福感を誘発する行動を他人と共にすることが多い。

 人とのまじわりは体験の一部に入り込むと同時に、自分の体験をあとで人に話すという形でも生じる。

 かたや物質主義の人はなぜか幸福感が薄くなる。

 それは出ていくお金が原因ではなく、お金を誰のために使うかにある。

 そもそも物質主義の人は自己中心の傾向があるからだ。(6)

 

自尊心が低いと物欲主義になる?

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 人を物質主義者にさせるものは、なんだろう。

 所有欲が強くなる原因は、その人」の生まれつきの性格、子ども時代の環境、あるいは人生体験にあるのだろうか。

 心理学者ラン・グエン・チャプリンとデボラレダー・ジョンが2007年に研究を行った。(7)

 二人はまず八歳から十八歳までの子どもたちを集めて、自尊心にかんする標準的なアンケートに答えさせた。

 その後、子どもたちにボードを見せ、「自分がしあわせになれること」というテーマで、絵を組み合わせて貼り絵を作ってもらった。

 研究者は、この遊びの中で子どもたちが“品物、のボードから選んだ絵の割合を数え、子ども一人一人について物質指向を計算する。

 その結果、自尊心と物質主義のあいだに強い関係が見られた。

 自尊心の低い子どものほうが、その他の子どもにくらべ、はるかに物質指向が強かったのだ。

 研究者は子どもたちにおたがいのいいところを、紙の皿に書き出して、相手に渡してもらった。子どもたち人一人が、自分の長所や自分へのほめ言葉が書かれた皿を受け取った。

 この「私のいいところ」の皿は、子どもの自尊心を大いに高めた。もっと重要なのはその後「私がしあわせになれること」のコラージュ作りで品物の絵を使う割合が半分に減ったのである。

 つまり、自尊心の低さが物質主義の傾向を生みだすという事が分かる。

 

終わりに

 給料にボーナス、誕生日やお年玉まで収入を得たら、まず自分の欲しい物に手を出す人が多いかもしれません。

 しかし、身近な家族の為にそのお金を使うなら、お金で得る以上幸福感が続くでしょう。

 

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参考文献

 ・(1)Brickman, D. Coates and R. Janoff-Bulman (1978). 'Lottery Winners and Accident Victims: Is Happiness Relative?" Journal of Persomality and Social Psychology, 36, pages 917-27.

・(2)G. Myers (2007). The work relating to the relationship between GNP and happiness involved examining data from the World Bank and the 'happiness' and 'life satisfaction' scales of the 1990-1991 World Values Survey.

・(3)M. Wegner (1989). White Bears and Other Unwanted Thoughts: Suppression, Obsession, and the Psychology of Mental Control. New York: Viking.

・(4)L. S. Borton and E. C. Casey (2006). ʻSuppression of Negative Self-Referential Thoughts: A Field Study'. Self and Identity, 5, pages 230-46.

・A. K. Erskine (2007). "Resistance Can Be Futile: Investigating Behavioura Rebound.Appeate,50.

・(5)Van Boven and T. Gilovich (2003). To Do or to Have: That Is the Question'. Journal of Personality and Social Psychology, 85, pages 1193-202.

・(6)L. Richins, and S. Dawson (1992). 'A Consumer Values Orientation for Materialism and Its Measurement: Scale Development and Validation'. Journal of Consumer Research, 19 (3), pages 303-16.

・(7)N. Chaplin and D. R. John (2007). °Growing up in a Material World: Age Differences in Materialism in Children and Adolescents'. Journal of Consumer Research, 34 (4), pages 480-94.