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貴方の性格を占ってみた...
これから、この文章を読んでいる読者の性格を占ってみるので、下の文章をお読みください。
あなたは、ほかの人から好かれたいと思っているし、褒められたいとも思っている。その反面、自分に批判的な傾向もある。
いくつかの弱点もあるが大抵の場合には上手くカバーできている。あなたにはかなりの才能があるのに、それを活かしきれていない。
しっかりとしていて自制心があるようにも思えるが、本当は臆病で自信が無い。自分が正しいかどうか疑問を抱く時もある。
適度な変化を好み、何かを禁じられたり制約を受けたりすると不満を覚える。
独自の考え方に強い誇りを持っているため、他の人の言うことを根拠もなく受け入れたりはしない。
軽々しく他人に心を開くのは賢明ではないと思っている。外向的で気さくで開放的に振る舞う時もあるが、内向的で懐疑的で控えめになるときもある。
どちらかと言えば、非現実的な願望を抱く時もある。
とりあえず、こちらが占った内容が読者の方に、どの程度当てはまっているのかを0~5で評価して頂きたいのです。
疑似科学のトリック
今回は、なぜ疑似科学である占いや血液型性格診断などに書かれている内容が、現実で本当に当たる事があるのかについえ話をして行きたいと思います。
実はですね、1948年に心理学であるバートラム・フォアラーが、この記事の最初に見せた占いの内容と同じ文書を自分の学生達にも見せました。(1)
文章自体は、いろいろな雑誌から適当に持ってきた言葉を並べたてただけで意味は無いのですが、学生に診断内容は「一人一人に合わせて書かれている」と嘘を教えられました。
すると、学生達が自分の性格診断に付けた点数は5点満点中「4.3点」という高得点で、後にこの実験は何回か繰り返されますが、フォアラーが行った実験結果とほぼ同じでした。
人間は他の誰にでも当てはまるような事を、自分だけの特徴であると感じてしまう傾向があり、これは「バーナム効果」又は「フォアラー効果」と呼びます。
この心理効果は、降霊術や手相占い、筆跡学など疑似科学の分野では必ずと言ってもいいほど使われています。
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バーナム効果の特徴
さらにこの「バーナム効果」を掘り下げて行くと4つの特徴が見つかります。
1つ目は、「一般的な内容である」こと
これは、占いの内容がどんな人にでも必ず当てはまるような文章であることが重要です。
2つ目は、「聞こえを良くする」があります。
特に相手を明確に否定するような言葉を使わず、ネガティブ情報の後には沢山をポジティブな情報で覆うことが重要です。
3つ目は、「人は文章に書かれた肯定文を過大評価する」こと
文字で書かれた内容だけに視線が行き、自分の欠点が一つもない不自然な点に気が付きません。
4つ目は、「確証バイアス」です
自分の考えに合致する情報だけを集めてしまい、ネガティブ情報を避ける心の偏りを指します。
以上の、4つの段階を経て人は当たり障りのない性格分析の結果を、本気で信じてしまうのです。
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信じることで本当に当たる事もある
しかし、皆さんの中にはこんな疑問を持つ人が居ませんか?
「占いならまだしも、血液型による性格分析は当たっていることが多いよ」と
そう、確かに血液型の場合にはあたかも当たっているような錯覚に陥りやすくなりますところが、「バーナム効果」ついで人の心に大きな影響を与えるのが「予言の自己成就」で心理学者のロバート・キング・マートンがなずけました。
「予言の自己成就」とは、ある情報を信じた人々の行動によって予言や期待が現実になることを指します。
例えば、過去に「Aの銀行はもうすぐ潰れるみたいよ」という噂を立てた人が居て、それを信じた人間が銀行に殺到することで本当に銀行を潰してしまう事件がありましが、これを「予言の自己成就」と呼びます。
血液型に置き換えれば「A型の人は礼儀正しく、そして几帳面だ」と言われたりそんな視線で常日頃から見られれば、血液型を意識していなかったA型の人も几帳面な行動を意識して取るようになったりします。また、逆の方向の働きもあり「B型は自己中心的だ」と考える人が多いとB型の人が、どんなに良い事をしても失敗やミスの瞬間ばかり指摘されたり記憶されてしまうなど、大きなデメリットもあります。
また「予言の自己成就」に近い効果で「ピグマリオン効果」(教師期待効果)というものもあります。これは、教師たちが生徒に対して大きな期待するだけでも、本当に子ども達の学力に向上してしまう現象を指します。(2)
生徒が「先生は絶対に成長すると思っている」と言われた事を意識すると、いつも以上に勉強に励むため結果的に成績が上がるのです。
以上から分かるのはそれを強く願うと言うのは、ある種の成功には欠かせない要素かもしれません。
しかし、それは誤った考えの元に他者や自分の行動を変えてしまうことも理解しなければ行けません。
占いや血液型性格診断などを見かけた際には、「予言の自己成就」と「バーナム効果」を是非とも思い出して頂きたい。
終わりに
まぁ、大抵の本気で信じている人は稀ですが、一応記事で紹介したような心理が働いているんだよ、という話です。
併せて読まれている記事はこちら
参考文献
・プロパガンダ:広告・政治宣伝のからくりを見抜く(誠信書房,1998年)
・Think Smart 間違った思い込みを避けて、賢く生き抜くための思考法(サンマーク出版,2020年)
・眠れなくなるほど面白い 図解 社会心理学(日本文芸社,2019年)
・図解 心理学用語大全: 人物と用語でたどる心の学問(誠文堂新光社,2020年)
・(1)Dickson, D. H.; Kelly, I. W.: »The »Barnum Effect in Personality Assessment: A Review of the Literature«. Psychological Reports 57, 1985: 367-382.
・Forer, B. R.: »The fallacy of personal validation: A classroom demonstration of gullibility«. Journal of Abnormal and Social Psychology 44 (1), 1949: 118–123.
・(2) Rosenthal, R., & Jacobson, L. (1968). Pygmalion in the classroom. The Urban Review, 3, 16-20.