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「感想/書評」【事実はなぜ人の意見を変えられないのか】説得するほど頑なになる

 

 

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著者・書籍情報

 

 著者:ターリ・シャーロット

 ユニバーシティ・カレッジ・ロンドン教授(認知神経科学)、同大学「アフェクティブ・ブレイン・ラボ」所長。

 意思決定、感情、影響の研究に関する論文を、ネイチャー、サイエンスなど多数の学術誌に発表。

 

 書籍情報:【事実はなぜ人の意見を変えられないのか】

 発売日2019/8/30

 人間の思考に視点を置いて、なぜ人は自分の意見とは反対の意見を避ける傾向にあるのかを、各論文を参照して述べていく。

 

 

どんな人にお勧めか?

 

 「自分の意見が正しいのに相手が応じてくれない」

 「人の考えを変えさせる方法はないのか?」

 と考えている人にはオススメとなっている。

 まず、なぜ人が自分の意見に固執しているのかを前半から解説していくので、それを見れば既存の説得方法では意味がないことが分かるだろう。

 

賛成意見しか興味が無い

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 人と言うものは、往々にして自分の考えにあった意見しか気にかけない。

 例えば、ある実験では「死刑制度に賛成派」の大学生と「死刑制度に反対派」の大学生を集めて、双方にとって有利・不利になる情報を提示してみた。

 すると彼らの反応は大きく分かれた。

 死刑に賛成派の人は、「死刑が有効である」証拠については称賛を送ったが「死刑は無効だ」という証拠ついては非難した。

 死刑に反対派の人は、「死刑は無効だ」という証拠には称賛を送ったが「死刑は有効だ」という証拠については非難した。

 この実験の面白いところは、最終的に「死刑制度に賛成派」も「死刑制度に反対派」も自分の考えを強めて帰っていったところだ。

 これは、自分の意見に相反する意見を突き付けられると、むしろ自分の考えを強めてしまう「ブーメラン効果」というものが発生したことが原因だ。

 私たちがどれだけ正しい事を言っても頑なに意見を変えない人はまさに「ブーメラン効果」が現れている証拠である。

 

意見を変えさせるには?

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 こんな風に疑問に思う人のいるだろう。

 「相手の間違いを指摘しても、むしろ頑固になるなら説得は不可能では?」

 それを研究したのが、カルフォルニア大学ロサンゼルス校とイリノイ大学の研究者たちだ。

 彼らは、「反対派の意見を変えるならプラスの面を強調して話すべきだ」と述べた。

 例えば、海外ではワクチンは自閉症になると未だに信じている「ワクチン反対派」の人がいる。

 正攻法では、科学的根拠を提示して彼らの意見を否定すればいいが、それでは「ワクチン反対派」の人間はより考えを強めてしまう。

 そうではなくて、「ワクチンによってどのようなメリットがあるか」を提示することで相手を説得することが出来る。

 例えば、ある夫婦がいて子どもにインフルエンザのワクチンを受けさせるかで、妻と夫の意見が分かれたとしよう。

 この場合、夫が「ワクチン反対派」だとして妻が説得するなら

 「確かにあなたの考えていることは良く分かるわ。でも、ワクチンをすることによって息子はインフルエンザなっても軽症で済むの。それに最近は、医療技術が発達してきたからワクチンで自閉症になったという報告は殆どないのよ。もし、息子にワクチンをしないと最悪こんな風に苦しむことになる可能性がある(インフルエンザで重症を負った子どもの写真を見せながら)。だから、息子の為にもワクチンをやらせた方が、本人もつらい思いをしなくて済むと思うの」

 あくまでも、自分の考えではなくて「息子」のためをであると主張して感情に訴えるのがいいだろう。

 もちろん100%上手く行くとは言わないが、既存の説得方法よりはマシだし、繰り返し使うことで慣れれば成果も上がり始めると思う。

 

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影響力について

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 実は中・後半にかけて、人間が他者に与える影響力について話が進んでいく。

 いくつか面白いものを挙げる。

 例えば人は、よくイケヤ効果と呼ばれるものに陥ることがしばしある。

 イケヤ効果とは「自分が作った物には、他人が作った物よりも高い価値を感じる」ことを指す。

 元々は、ハーバードビジネススクールの実験で確認されたもだ。

  被験者が自分が組み立てたイケアの棚は、既製品の全く同じ棚よりもよく見える傾向にあった。多少形が歪んでいても、自作の方がよく見える。

 その時にイケアの棚を使っていたから「イケア効果」という名前にしたようだ。

 他にも、人は気分がストレスとかでネガティブな気持ちになっている時ほど否定的な意見を受け入れる傾向にある。

 アメリカコロラド州の消防署を調査したところ、緊急の出動がない日は比較的ポジティブ気分の気には「ポジティブな意見」を受け入れて「ネガティブな意見」を避ける傾向にある。

 ところが、緊急出動がある日、つまりストレスの多い日には「ネガティブな意見」を受け入れて「ポジティブな意見」を避ける傾向にあった。

 このように人は日によっても考え方を変えたりする。

 ネガティブな日こそむしろ、自分に否定的なフィードバック(改善点)などを受けると良いのかもしれない。

 

本を読んだ感想

 

 前・中・後半の内、説得に関する話は前半部分に集中しているので、もし説得のやり方や考え方を知りたいなら、前半だけ読むと良いだろう。

 後半から終わりにかけて、脳の話が展開したりどんどん複雑になっていくので興味がなければ正直見る価値はない。

 本書自体、参考文献などもあるので悪いものではないが、タイトルだけで選んだ人にとっては、後半でめんどくさくなる可能性があるから注意してほしい。

 それ以外は、問題もなく読み進めるとこが出来る。

 

終わりに

 

 ここまで、見てくださり本当に有難うございます。  よろしければ、「読者登録」や「はてなスター」等を付けてくださると嬉しいです!