研究者がしてきたように、もっと上手くできるはずだと、まずはしっかり認識することだ。
byポール・タフ
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著者・書籍情報
著者:ポール・タフ
「ハーパーズ・マガジン」「ニューヨークタイムズ・マガジン」編集記者を経て、フリーのジャーナリストなる。
子供の貧困と教育政策を専門に多数の執筆・講演活動を行う。
その他の著書に「成功する子 失敗する子」(英治出版)がある。
【私たちは子どもに何ができるのか 非認知能力を育み、格差に挑む】
発売日2017/9/6
主に貧困の子どもたちを中心に、アメリカで起こる貧富の有無でどれくらい学力面でも精神面でも差が生まれてしまうのかを話している。
そして23の見出しでどのようにして広がった差を縮めるのか、特徴的な制度や授業を行う学校や各施設、制度を取り上げて解説している。
どんな人にお勧めか?
「もうすぐ子どもが生まれてくるけど、ちゃんと育てられるか心配だ」
「うちの子は、言うことを聞かないので手こずっている」
などと考えている人は、是非見ることをオススメする。
子どもが生まれてから、どのように接して、どんなことが幼い幼児に悪影響を与えてしまうのかを、本書に登場する貧困層の子どもから学べる。
多少、普段本を読まない人では難しいと感じてしまう事もあるかもしれないが、子の親なら必ず見て損はない。
子育てに必要な知識を得る
子どもが生まれた場合、その瞬間から勝負である。
本書では「非認知能力」すなわち、やり抜く力、自制心、楽観的な物の見方などをどのようにして手にれていくのかを話している。
非認知能力は、教えれば身に就くものではなく「環境」によって生まれる。
特に、23の見出しの中で注目されるのは「親」の存在と思える。
と言うのも、子どもが最初に接する人間関係は、自分の親だ。
その環境が上手く整っていなければ子どもは、不安を抱えて成長することとなる。
それは、必ず弊害をもたらす。
落ち着きがなかったり、暴力的で他者と協力をして何かを行うなど考えられない。
印象に残っている文章は、口論をよく頻繁にする家の子どもとそうでない子どもでは、脳が「外の世界を安全」と考えているか「外の世界を危険だ変化に備えろ!」としているかで大きく変わっていたことだ。
また、逆境の話では親が捕まったり虐待を受けたり、離婚したりすることが「子供時代の逆境」の数を増やし、それらはガンの発生リスクや心臓病のリスクを増やす要因なりことが挙げられている。
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教師も見るべき
この書籍のタイトルにある、「私たち」とは何も親だけではない。
子どもを指導する側である教師たちも、対象となっている。
「いっさい許容しない」を掲げている校則の厳しい学校は本当に安全や効率を守れているのだうか?
この点も、本の中で話されていて非常に面白いところだった。
また、授業のやり方もただ教えて勉強をさせるのではなく、チームを組ませたり話をの場を設けた方が成績も上がる。
なぜなら、自分達で難しい課題を考えて協力して対処するからだ。
社会で生きて行くには、どれも必要な要素だ。
先生が答えを教えるのでなく、考えた末にでた答えにフィードバックを送ってく。
それが、子どもたちを成長させる。
しかし、その効果が証明されてもなお、教育に取り入れるアメリカの学校が少ないことに不満を覚えた。
子どもたちに対する評価の仕方や接し方は、親と同じくらいに気を使わなければいけない部分だ。
教師の中には認知能力を鍛えられる人がいて、そう言う人間は大抵良い評価をされてボーナスを多くもらえる。
逆に非認知能力を鍛えられ人がいて、彼らの存在があることで子どもの出席率や留年率、停学率を押さえることが出来る。
しかし、こうした人たちにボーナスはない。
こうなると、せっかく子どもたちの非認知能力を鍛えれる才能があるのに、やり方を変えてしまうかもしれない。
学校全体が、一度制度や校則を見直さなければいけない必要があると考えさせられた。
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子どもと接すること
これから、流速がさらに加速する現代で生き残るには認知能力的な要素では、物足りない。
非認知能力といった、やり抜く力、自制心、楽観的な物の見方が必要になって来る。
もう単純にいい大学を出ていれば成功する時代でない。
創造的なアイディアを思いつき、実行し、継続することが大事だ。
本書の中では、後半にかけて考察しながらどのようにして貧困層の子どもたちを、平均レベルまで持ち上げるのかを考えていた。
その中でもいくつか解決に繋がりそうなアイディアも出ている。
しかし、本書を通して言えることは、親が子どもに正面から向き合って対応する事である。
特に興味深いのはロシアの孤児院のストーリーで、子どもたちに対するスタッフの態度や接し方を変えただけで、身長や体重、胸囲が増加したというものだ。
親しみを込めて軽い会話をするようになっただけで、こうも大きな変化が訪れる事を考えれば、いかに子どもたちに愛情をもって接するのが大切か分かる。
たとえそれが、幼児期の赤ちゃんではなく小学生くらいの子どもでも同じだ。
効果は大きくないかもしれないが、子どもが信頼し安心できる人間関係を持つことは非常に重要なのだ。
終わりに
これから子育てをする方は是非本書を手に取っていただきたい。
ここまで、見てくださり本当に有難うございます。
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