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著者・書籍情報
著者:ケリー・マクゴナガル
ボストン大学で心理学とマスコミュニケーションを学び、スタンフォード大学で健康心理学の博士号を取得。スタンフォード大学の心理学者。
書籍:【スタンフォードのストレスを力に変える教科書】
発売日2015/11/1
本書では、ストレスに対する人々の偏見を解消しつつ、どう日々沸き起るストレスに対処するのかを述べている。
どんな人にお勧めか?
「最近ストレスが多いな」
「ストレスなんか無ければいいのに」
と考える人は特にオススメとなっている。
本書を読み終えることには、むしろストレスはいいものだと考えることも十分に可能になる。気になる人がいれば、一読してみるのも良いだろう。
ストレスは害があると言う誤解
そもそも、ストレスが悪訳にされたのは1936年にハンガリーの内分泌学者ハリス・セリエが雌牛の卵巣から採取したホルモンを実験用のラットに注射しました。
ラットの体に怒る反応を観察して、ホルモンがどのような影響を与えるかを確認しようとしたのだ。
ところが、予想に反してラットは出血性潰瘍を患い病気になってしまった。そこからハリスは、様々な方法でラットに高い負荷を掛けることで同様の症状を発症したところから、外的な刺激が影響しているのではと考えて、そこに「ストレスの科学」が誕生した。
のちにセリエは、その考えを人間にまで拡大解釈することになり、それがストレス害悪の考えに繋がる。
ストレスの研究は、その殆どが実験動物だけを対象に行われて人間は対象外だった。
しかもその内容も、容赦なく水の中に投げ込まれるや何回も電気ショックを浴びせられたり、溺れそうになるまで泳がされたりする。
これは大よそ、我々人間が日常で感じるストレスの比ではなく、悪影響がでて当然でだ。
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ストレスは何種類もない?
ハーバード大学医学部のウォルター・B・キャノンは犬や猫を対象に、「闘争・逃走反応」を報告しました。
動物に限らず私達人間も、身に危険を感じると、体内のアドレナリンが分泌されて交感神経活性が高まります。
呼吸が速くなり、筋肉が緊張して、瞬時に行動を起こさせるようになります。これは代々受け継がれてきたものです。
しかし、現代では果たしてそこまでの状況に陥ることがあるでしょうか?
闘争・逃走反応といっても、面倒ごとから逃げられるわけではなく、アパートの家賃を踏み倒すようなことは出来ない。
つまり余程危機的状況で無ければ、無駄なエネルギー消費にしかならない。
これを「ミスマッチ理論」と呼んでいます。
ところが、ミスマッチ理論の欠点はストレス原因が一つに限定されてしまうからです。
例えば、買い物に行ったのに欲しい物を買い忘れてストレスを感じたとしよう。
それは、命にかかわるほどの重大な出来事ですか?
ミスマッチ理論は、それすらも闘争・逃走反応だと考えているのです。
現代社会では、逃げるか闘うかの二者択一ではない。ストレスも長い年月をかけて社会に適応するように変化した。
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ストレスで他者に優しくなる
ある実験では、「トラストゲーム」と呼ばれるゲームで進行役の参加者に100ドル、対戦相手に1ドルも与えませんでした。
その後、進行役は対戦相手をどの程度信用するかで、ドルが増えたり減ったりします。
・相手を信用しない場合、100ドルを半分に分けて相手に渡す。
・相手を信用する場合、相手もあなたを信用したら両者に200ドル与えられる。
・相手を信用する場合、相手はあなたを信用しなかったらあなたは全額失う。
事前に参加者達は、グループ面接と認知能力テストで他の参加者達と張り合いをさせました。
他人と比較される脅威とプレッシャーを当てるのが狙いだった。
その後、ストレスを与えられていない参加者とゲームをさせたところ、相手を信用して、逆に相手の信用に答えた確率は75%でした。
そうでない人は概ね、50%くらいの確率でした。
この実験から分かるのは、感じるストレスは必ずしも一つではないということ。
例えば、「チャレンジ反応」が起こると自信が強まり、進んで経験から学ぼうとする。
「思いやり・絆反応」が起こると、勇気が強まり、人の世話をするなど社会的な関係を強化する。
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チャレンジ反応はパフォーマンス上げる
「チャレンジ反応」は「闘争・逃走反応」と違って、集中力は高まるが、恐怖は感じない。
数種類のストレスホルモンが分泌される割合も変わり、副腎で作られるステロイドのDHEA(デヒドロエピアンドロステロン)の割合が高くなり、ストレスから回復するのを助けてくれる。
一般的には「フロー」状態にある人が、この「チャレンジ反応」を起こしていると言える。
精神的にも肉体的にも高いパフォーマンスを発揮することができ、自信が強まり、集中力が高まので、結果も良くなる。
「思いやり・絆反応」が社会的繋がりを強くする
ストレスを感じると、人とのつながりを求める気持ちが強くなる。それは主に「愛の分子」や「抱擁ホルモン」と呼ばれるオキシトシンが、脳の下垂体から分泌さるからだ。
神経ホルモンとして社会的本能を調節する役割以外に、勇気をもたらす脳内化学物質でもある。
脳の恐怖を鈍らせ、体が動かなくなったり、あるいは逃げ出そうとしたりするのを防ぐ。
ストレスが発生して、とっさに子ども達や仲間を思い浮かぶのは、まさにこの反応が起きている証拠だ。
卑劣な行為をする相手に対して、自分のチームやコミュニティを守りたいと考えるのも同様のストレス反応である。
さらにオキシトシンは、心臓細胞の再生や微小損傷の修復に役立つので、心臓血管の健康には必要な物質であるのだ。
この様にストレスは必ずしも悪いのではなく、ところにより私達を存分に助けてくれる重要な存在であることが分かる。
もちろん、ストレスが多すぎるのは問題だが、自分が今感じているストレスは自身の成長に繋がると考えるだけでも、気分の改善などが見られる実験もある。
本を読んだ感想
具体的なテクニックなどは、本書を呼んでもらえればいいだろう。それよりも、私が驚いたのはストレスの効能だった。
正直、今までストレスが体に良いのは何となく分かっていたけど、眉唾物だなぁと考えていたところがあった。
しかし、今回読んだ書籍はその考えを吹き飛ばすような考えをもって書かれているのでかなり新鮮な体験を得ることができた。
これからは、ストレスについて幅の広い考えを持てるようになったことを嬉しく思う。
あぁ、一つだけ言いうことがあれば、書籍で上げられた実験の参考文献が無いのは残念だった。
だけどマクゴナガルの姉貴はマジ半端ないです。
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終わりに
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