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著者・書籍情報
著者:トマス・チャモロ―ブリミュージク
ロンドン大学教授、コロンビア大学客員教授。専門はビジネス心理学で、過去にはニューヨーク大学、ロンドン経済大学でも教鞭をとった。
書籍:【自身がない人は一流になれる】
発売日2015/10/30
自信が無い人は、どこが優れているのか。また、高い自信を持つ人はなにが問題なのかを研究を用いて紹介している。
どんな人にお勧めか?
「何をするにしても不安でしょうがない」
「自信を持てないけどそれって問題?」
と考える人にオススメとなっている。
本書の中で、著者はこれでもかというほど[「単なる自信家達」に、研究データなどを使って「息の根を止める」勢いで攻撃している。
根拠のない自信が何をもたらすのかを知りたいなら、見てみるといいだろう
自信があると言うこと
自信がある人の多くは、実力が伴わないことを本の中で繰り返し話している。
例えば、ある研究で自分の外見的魅力を自己評価させると、自分は魅力度が高いと考える人ほど自信も高かった。相関性で言えば0.6くらいだ。逆に自分は魅力度が低いと考える人ほど自信も低かった。
ところが、他者から見た視点を加えるとこれは相関性が0になる。
というのも、客観的に見たところ必ずしも自信が高い人と魅力度が高い人は同じではなと言うことだ。
だから「自信がある人ほど魅力的である」という考えは、大きく間違っている。
なぜなら、本来は実力があるからこそ、それに伴って自信がついてくるのであって、自信が先にあって後から実力がついてくるわけではない。
むしろ自信だけが高い人は、自分の実力を客観的に見ることが出来ず、他人からの否定的な(改善点)フィードバックをまともに受け取ろうとしない。
逆に自信がない人は、自分の実力を客観視できるため能力の向上に努めようとしたり、準備を怠らないようにする。
これが後に本物の実力か虚勢だけの実力モドキになるのか分かれるところだ。
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自信の種類
自信の種類は4種類あるがそのうちの二つを挙げたい。
- 実力の伴わない自信
- 現実的な自信喪失
上記の二つを紹介していく。
まず、実力の伴わない自信についてだが先ほども述べた通り、異様に自信が高い人は実際に自分の実力を客観的に理解できていない可能性が高い。
誇大性の高い言葉を吐きながら実際には実力がなく、何か困ったら他人のせいにして逃げようとする。
そして残念ながら大半の自信家はここに分類されることになる。
残りの3種類に行くほど洗練されていくと考えれば、最初の関門である「実力の伴わない自信」で多くが脱落することは不思議ではない。
次に現実的な自信喪失だ。
これは自分に自信がないことを自覚し、さらに客観的に実力を見れる状態にある。
それは自分の能力を向上させようと目指すために必要なことで、イリノイ大学の調査では自信が高い人ほど努力を怠る傾向にあり、逆に自信ない人は成果を得る為に努力しようと考えることが分かっている。
安心して欲しい。少なくともこれを見ている貴方は、「実力の伴わない自信」ではない。
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不安は生きる為に必要である
「自信がない」とは言いなれば「不安である」と言う事だ。
不安な状態は、しばしば悪い事のように扱われることがある。しかし、それは大きな間違いで、不安であるからこそ私たちは生き残れてきたのだ。
例えば、イギリスで1028人の子どもを対象に心理テストや教師の証言などから本人の不安傾向を高いか低いかを判断した。
その後、15~25歳までの10年間追跡調査してどれくらい事故死したのかを測った。
結果は、15歳の時に不安傾向が強い人ほど事故死する可能性は低く、また別の調査では、不安傾向が高い人ほどHIVなど性感染症の予防接種もちゃんと受けいることがわかった。
ここからわかるのは、不安傾向が高い人ほど危険なリスクを回避するための行動に積極的であること。
逆に不安傾向が低い人は、例えば「スピードの超過、飲酒運転、望まない妊娠」といったリスクを「自分は大丈夫」と根拠のない自信によって簡単に犯してしまう。
さらにこれは現代にばかりでなく、原始時代にもやはり心配性な人ほど生き残れる確率は高くなる。
常に周囲を敵が潜んでいないか警戒して、猛獣がいそうな場所は意図的に避けるようにするなど様々な対応を行う。
しかし、リスクを恐れない人は余り索敵することもなく森に近づいて、隠れていた猛獣の餌になる。
無駄に自信があるのはどこまで行っても利点はない。
自信が必要な時
そうは言っても、自信が必要な場面が来る時がある。
例えば、人前でスピーチしたり・重要な取引をしなければいけない場面で「どうしよう、どうしよう」と挙動不審な人間にいい印象を抱くはずはない。
この点で、自信家は素晴らしい成果を挙げている。
実力はないが、まるで自分は天性の才能を持っているかの如く堂々と話すのだから。
自信がない人もその点は見習うべきだ。
しかし、中には「自信を偽ってもバレないの?」と疑問に思う方もいるかもしれない。
チャールズ・ボンド・ジュニア博士とベッラ・デパウロ博士は、2万5000人+200件以上の研究を分析したところ、人間が相手の嘘を「見破れる確率」は53%で「見破れない確率」は47%であると結論を出した。
これは、およそコイン投げや当てずっぽうで決めるのと同等の確率でしかない。
ここからわかるのは、あなたが仮に何か嘘をついたとしても、相手がそれを見抜く確率は半々程度だと言う事だ。
つまり自信があるフリをしてバレても、単にコイン投げ程度の確率でバレたと思えば、それほどリスクの高いことでないだろう。
本を読んだ感想
本書はとにかく無駄に自信があるやつをコテンパンにしている印象だ。
時々あのドナルド・トランプを挙げたりして、実力が伴わない自信は成功しないといっている。
残念ながら、書籍は2015年に出版されていて、その後トランプが大統領になること予想できなかった。
本書で唯一の残念な点は、「見せかけのだけの自信家典型例」として挙げたドナルド・トランプが本当に大統領になってしまったところだろう。
研究データや論文に問題は無くても、たったその一点で書かれている内容の信憑性を落としかねなことを筆者は理解しないといけない。
まぁ、それを除けば全体として面白く、健康の話なんかも出てくるので興味があれば買ってみるのもいいだろう。
終わりに
ここまで、見てくださり本当に有難うございます。 よろしければ、「読者登録」や「はてなスター」等を付けてくださると嬉しいです!