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「心の会計」状況によってお金の使い方が違うワケ

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お金は状況で使い方を分けている

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 私達は例えば、道端で1万円を拾ったとします。

 そのお金をどの様に使うかは、人によって違うのは当たり前ですが、皆さんは貯金をしようと思いますか?

 もしかしたら、臨時収入に驚いて普段は行かないようなお店で買い物したり外食を楽しんだりします。

 ここで重要なのは、普段は自分が稼いだ1万を大事に計画的に使うのに対して、道端で拾ったお金は比較的無計画に扱えてしまう点です。

 今回はなぜそのような状況が発生してしまうのかを、紹介して行ければと思います。(ちなみに拾ったお金は交番へ届けましょう)

 

損得勘定と行動

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 例えば、2万円の家電がクーポンで5千円で買えるとします。そのクーポンが使えるお店は貴方の家から車で45分かかるとします。

 多分、大抵の人は車を走らせるかもしれません。

 しかし、これが100万円の品をクーポンによって99万5千円になるからと言って、車を45分走らせますか?

 その為に、わざわざ車を走らせる人はいないと思います。

 似たような実験を、インドの経済学者であるセンディル・ムッライナタンが無料食堂に集まる貧困層の人達に行いました。(1)

家電を50ドル安く買う為に45分かけて別の店まで行こうと思うだろうか?

 この場合、家電の定価が100ドルなら、50%の人は割引の為に45分の道のりを行く理由になる。だが、定価1000ドルなら、50ドルの為にわざわざ足を運ぼうとは思わない。

 そしてムッライナタンの調査から次の事が分かりました。

 無料食堂の人にとっては、なんであれ割引されるなら45分を掛ける価値があると判断したのです。

 よく考えれば無料食堂の人達の考えは理に叶っている。50ドルをタダで割り引いてくれるのなら、どのような状況であっても特になるだろう。

 だからと言って、そうでない人はおかしいのかと聞かれれば、違う。

 大抵はモノの価値だけでなく、時間の価値も考慮して考えている。

 1万円は誰に取っても同じ価値があるという考えを持つ人もいるが、それは変な話だ。

 私達が一人一人がそれぞれの財布の1万円は与える価値でさえ、状況次第で変わるというのに。

 例えば、富豪が稼ぐ1万円は機械上の数字に過ぎないが、貧困層が稼ぐ1万円はその日を生きる為に無くてはならない金額だろう。

 

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心の会計とは

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 そもそも心の会計とは何だろうか?

 例えば、居酒屋で出されたビールが同じ値段でコンビニで売っている物よりも割高だとしても腹を立てたりしない。

 それはなぜか?私達は知らぬ間に、「外食用」の心の会計から支出を出しているからだ。

 普段は「自宅用」の会計から支出を出しているから贅沢はしない。

 しかし、家族旅行などに行くと「旅行用」の袋を使い、普段は絶対に買わないような高い商品を買ったり食べたりする。

 これが「心の会計」である。

 初めて心の会計を存在を明らかにしたのは経営学者のリチャード・セイラーだ。

 同様に、1982年には日本の研究者がある発見を発表した。

 研究者は小遣いの勘定1つ見ても、女性は自分の小遣いをさらに9つの心の勘定、「心理的収納袋」に分類する。

 「日用必需品、小さな贅沢、文化・教育、へそくり、安全、服・化粧、雑費、より良い暮らし」の9のつの袋である(2)

 さっきも言ったが、家族旅行中、車中で売っているミカンは近所の店に比べて割高だが、女性はその金額を喜んで払う。

 そのお金は「お出掛け袋」から出るからだ。

 旅行用の袋は特別な品の為に使われる。

 これが普段の生活なら日用品の袋を使うため、同じミカンの値段でも別の判断が下される。

 私達は知らない間に、心の中に時間枠を設けてそれぞれにお金を割り振っているのだ。

 今日用のお金、明日用のお金、雨の日のお金と言った具合に。心の会計を持つことで買い物の判断がとっさいにできるようになり、それぞれの状況でどこまでなら出せるかも判断できる。

 これがあるお陰で出費を自制しやすくしているのだ(3)

 

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会計は常に変わる

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 私達の心の会計は予め決まっている普遍的なモノに思われるかもしれない。

 しかし、実際には心の中で新規の感情を臨時に追加しているのだ。

 例えば新幹線のチケットなどがそうだろう。

 日本人のサラリーマンは特にお世話になるから、あまりピンと来ないかもしれない。

 しかし、大半の人にとっては未だに「日常の支出」とは言えない。

 新幹線に乗る時は、しかるべき金額を「○○行きの新幹線」として心の袋に割り振る。

 そして費用が割当金額を超えない限りは、追加料金が発生しても安心していられるのだ。

 ただし、人身事故や何かしらのトラブルにあってその新幹線を諦めなければならない時は少し事情が変わってくる。

 新しいチケットを買うのに、余計な金額を出さなければ事態かも知れないが、その受け止め方は大きく違うだろう。

 料金に納得してチケットを買ったのに、心の中で当初の価格が新幹線代として確定した後で思わぬ追加料金を取られると、勘定が赤字になった気になり、悪くすると、罰金を取られた気になる。

 これが、私達が不測の事態に不満を持つ原因だ。

 このように、人はお金を心理的な側面でも合理的な判断を元にして、支出を出している側面があるという事が分かる。

 

終わりに

 

 最初にも話した通り、拾った1万円はつまるところ「臨時収入」の袋に入れられて普段よりも雑な扱をされる。

 だけと稼いだ1万は「日用消費」の袋に入れられて計画的に消費される。その違いが分かれば幸いです。

 


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参考文献

 

・(1) Mullainathan, S. & Shafir, E. (2013) Scarcity: Why Having Too Little Means So Much. Lon-don: Allen Lane.

・(2) Kojima, S. & Hama, Y. (1982) Aspects of the Psychology of Spending. Japanese Psychologi-cal Research, 24(1), 29-38.

・(3) Shefrin, H.M. & Thaler, R. (1988) The Behavioural Life-cycle Hypothesis. Economic Inqui-ry,26, 609-643.