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著者・書籍情報
著者:久賀谷 亮
イェール大学医学部精神神経科卒業。アメリカ神経科医学会認定医。日本で臨床および新契約の研究に取り組んだあと、イェール大学で先端脳科学研究に携わり、同大学で臨床医としてアメリカ屈指の精神医療の現場に8年従事する。
書籍:【最高の休憩】
発売日2016/7/28
各論文を参考に、一つの物語形式で話が進むので非常に分かりやすくまたスラスラ読める本となっている。
どんな人にお勧めか?
「短気な性格をどうにかしたい」
「いつも時間に追われている」
そんな考えを持つ人にオススメとなっている。
全部は話せないが、本書に出てくる主人公が正にそのような悩みを抱えていて、それをどう解決するのか見てみるといいだろう。
瞑想で疲れない脳を作る
瞑想と聞くと東洋の神秘的な要素を思い出す人も居るだろう。つまり、眉唾物ではないかと。
ところが、本書で紹介されているマインドフルネス瞑想は科学的な根拠的ちゃんと出てきているのだ。
例えば、2009年にニューヨークのマイケル・クラスナーが発表した報告では、70人の医師にマインドフルネスプログラムを実施したところ、燃え尽き症候群などが20%も改善したという。
さらにジャドソン・ブリューアーが2011年に発表した論文では、10年以上の瞑想経験がある人に、マインドフルネス・セッションを行った時に脳の活動を測定したら、内側前頭前野と後帯状皮質の活動が低下してた。
それはつまり、DMN(デフォルト・モード・ネットワーク)を司る部分で、ぼーとしている時でも常時働いてる箇所だ。
しかし、DMNは脳の全エネルギー60~80%を占めているとも言われ、このDMNを抑えなければ勝手に脳は疲れていく。
ぼーとしている時に浮かんでくる雑念が、脳疲労の原因であるという事。
瞑想することでそれらの活動を抑える効果があることも研究で見られている。
瞑想は習慣が第一
まずは瞑想を一日5分でも良いから続けることが重要だ。マインドフルネスの短期介入では5日間の瞑想で効果があったとう報告もある。
さらに10年以上も瞑想を続けている人は、DMNの変化も大きい。
そして何よりも、脳の集中力を妨げるのはマルチタスクだ。
近年でもマルチタスクの弊害を綴った本はあるが、本書もその一つである。
現代は悲しくもながら作業をもてはやされる時代だっと言ってもいい。
しかし、マルチタスクは人の集中力をすり減らしていく要因になる。
その点マインドフルネスでは、ある人事課スタッフたちを対象にスケジュール管理に追われているスタッフの内、マインドフルネスを週2時間、5週にわたり行うと、仕事に対する集中力が高まった結果がある。
さらにマインドフルネス瞑想はフローと関連しているとも言われている。瞑想を行うことで、後帯状皮質の活動を低下させて自己意識を隅に追いやることこそフローであると。
また、集中力・注意力に関してはADHDにもマインドフルネスが有効だという研究結果もある。つまり、落ち着きのない、集中力に欠ける人々も、マインドフルネス瞑想で注意力を高めるようだ。
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扁桃体を抑えてはいけない
簡単な話、前頭葉が人間の理性で扁桃体は感情的な部分だ。
そしてこれらのバランスがちゃんと取れていないと、パニック発作のようなモノを発症しやすくなる。
しかし、マインドフルネを行うと不安感を鎮める作用の他に、脳画像研究の解析結果では、前頭葉と扁桃体の関係も改善する効果が認められた。
さらにストレスの捉え方も多分に変化が訪れる。
あるグループが2010年に報告されたところでは、マインドフルネス・ストレス低減法により、右側の扁桃体で灰白質の密度が減り、扁桃体の活動が弱まったことがわかった
そして何より、疲労感と言うのは脳が感じる現象でマインドフルネスや認知行動療法を行うことで、重度の疲労感を持つ慢性疲労症候群の患者に運動指導と同じくらいのカウンセリング効果があった。
その他に多発性硬化症などは2014年のメタ分析では、マインドフルネスを行う事で患者の疲労感を改善した事例が紹介されている。
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怒りと疲れの関連
怒りは脳の扁桃体が影響している。扁桃体は外部からの過度の刺激を受けると、脳全体に影響して扁桃体のハイジャックなどとも呼ばれる現象が起きる。
これはアドレナリンが分泌されて脳の思考活動が抑制されるので、前後の見境が無くなったりする。
さらに目的意識がある人ほど、怒りやすくなる。
タスク・オリエンティッドは、目的意識が強すぎるとゆとりがなくなり、怒りやすくなることを刺している。
牧師を志望する学生を対象に二つのグループに分けて、片方には「OO時までに次のクラスへ行きなさい」と伝える。もう片方には場所を教えても時間は指定しなかった。そしてどちらの学生にも、道中で助けを求める人が現れる。しかし、あらかじめ時間をしてされた生徒は困っている人を助ける割合が低かった。
このように、牧師を目指す人ですら本来の目的(人を助ける)を忘れて、目の前の時間だけに追われてしまうという皮肉な結果になった。
これらも適切に瞑想を行うことで、改善できる。
本を読んだ感想
私が読んだ瞑想を書いた本の中では一番わかりやすく、また読みやすいものだった。
こういった、マインドフルネス瞑想などを紹介するとやけに難しく感じたり、ややこしい話が出てくることもある。
しかし、対話形式で進む内容は抵抗なく読めるだけでなく、今ままで考えていた瞑想の常識を覆してくれた。
あと、個人的に気にいったのは参考文献を乗せているところだった。あまり日本人の著者が書いた本を読まない。(割と情報の出所が分からないから)
だが、この著者の様に参照しやすい形で載せていくれていることに好感を覚えた。
終わりに
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