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著者・書籍情報
著者:ロバ―ト・キンセル
YouTube 副社長
極度な情報統制下の共産国チェコスロバキアで生まれ育つ。アメリカへ移住し、ペパーダイン大学でMBAを取得。YouTubeでは、ビジネスと広告とクリエーティブ・リレーションシップを統括している。
書籍:【YouTube革命 メディアを変える挑戦者たち】
発売日2018/3/15
どんな人にお勧めか?
「今のYouTubeはどうなっているんだ?」
「YouTubeで成功する方法が知りたい」
と考えている人にオススメとなっている。
本書は、2年前の著書であるため情報自体は全く新しいとは言えないが、YouTubeの副社長視点から見た現実を、海外のYouTuberを例に出して話してくれる。
ヘイトサイトは長続きしない
副社長のロバ―ト・キンセルが、複数のYouTuberを例に挙げて解説する方式で、話が進むのだが、その中でも取り分け気になったのが「ヘイトサイトは長続きしない」事についてだった。
彼の考えによれば、「人種、宗教、文化、ジェンダー、性的指向をめぐる差別は世界で克服できない問題のように見える。反対運動はあっという間に燃え上がるという考えは、思った以上に人々に受け入れやすい」との事だ。
まぁ、分かりやすく言えば炎上するような動画(差別発言等を含む)は、人気があるという事だ。
別にそれ自体は、今になって珍しいと思うようなことでも無い。
しかし、続けて「YouTubeで成功しているコミュニティのほどんどは、賞賛型のコミュニティだ。全体として、好きなものを見に集まるファンたちであり、意地悪な見方をあおったり、怒りをぶつけたりはしない」と言っている。
確かに、日本でもトップに位置するYouTuberは、他人を攻撃して日銭を稼いでる訳でない。
逆に言えば、炎上や中傷をメインに扱う有名なYouTuberで広く認知されている人間は少ない。
恐らくその理由も、長くは続かない事が挙げられる。
最近のYouTubeは広告の出す動画に最適化する場合が多くなり、例えば「子ども系」のチャネルでは以前ほど収益が上がらなくなっている。
逆に、あまり登録者が少ない「教育系」のチャンネルには、最高で「1再生=4円」もの広告費が付くことすらある。
俗に言う「1再生=0.1円」という話を未だに信じている人がいるが、非常に情報不足だ。
動画投稿する時期やコンテンツの内容によって、広告費は変動するという事を理解して置くべきだろう。
もちろん「炎上動画」についても、YouTubeは抜け目ない。
どうせ広告を表示してもクリックしてくれなさそうな視聴者しか集まらない「炎上系」のチャネルに、広告を付ける理由はどこにも無いだろう?
以前は「炎上でも広告費が稼げる」と言われていたかもしれないが、そんな時代はとっくに終わった事を認識しなければならない。
さらに、YouTubeはヘイトを毛嫌いしているという事も理解しなければならない。
日本では依然として、炎上を使った集客で広告費を稼ごうとする人がいるがなぜか存在している。
私から彼らに向けて何か言うとしたら「情弱」の一言だろう。
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メンタルを鍛えなければ続かない
YouTubeを始めるにあたって、とあるリアリティ番組の人間がメディア対応訓練の際に聞かされた面白い例を出している。
「一日目に教わったのは『これからきみはガラス張りの家に住むことになる。外に出れば、きみはファンのものだ。それを聞いていやだなと感じたら、この業界には向いていない。家のドライブウェーのすみに出したごみをあさられると考えるとぞっとするようなら、やはりこの業界には向いていない。人々はきみの仕事を知りたがる。きみの性生活を知りたがる。きみについて何でも知りたがる。それを不快に感じるなら、きみはこの業界には向いてないという事だ』」
私はこの考え方に賛同はしないが、感情を抜きにすれば至極真っ当だろう。
一度有名になるという事は、あらゆる事を詮索され、指摘され、時には炎上する。一言が名言になる時もあれば、失言にもなり得る。
特別なメンタルトレーニングをしていない、素人が突然ハリウッドスターのような扱いを受け始め、ロクに覚悟もないのにあらゆるストレス押し掛けられて気が滅入る事は、十分に予想可能だ。
大よその人間は、トップYouTuberになる事が出来ないが、稀にあらゆる面において運が良い人が出てきて、周りからチヤホヤされる大物YouTuberになる。
しかし、運は長続きしない。
有名の先に待っている、毎日投稿や炎上対策に追われる日々、どこに行っても「動画を作らなきゃ」という焦心に駆られ、私生活は崩壊していく。
今までハリウッドスターが体験していた事をYouTubeにおいても体験する事が出来るようになった。
何歳であろうと「才能」と「運」さえあれば「有名」にはなれるが、それは良い面ばかりを見過ぎだろう。
投稿を止めれば終わり
YouTubeは情け容赦のないサイトだ。
「視聴者の方が先を行くようになったら、そこから問題が始まる」とコメントしたのは、海外のYouTuberだった。
彼は、自分がファンだったクリエーターの中にも、コンテンツの内容から撮影技術まで、型にハマったものしか作れなくなったケースがあると語った。
それはどんな問題を生み出すのか?と疑問に思うかもしれない。
簡単だ「クリックしなくても動画の内容が既に理解出来てしまう」という事である。
毎回、派手なサムネイルで釣り動画を投稿する人がいれば、新しい動画を投稿したところで「どうせまた釣り動画でしょ?」という反応に当然なるだろう。
例えば、3年前の動画と3年後の動画が構成や話し方まで丸っきり同じ投稿者を長く見続けていると、直感が働いてクリックしなくても察せるようになる。
お気づきかもしれないが、先の分かる展開ほどつまらない事はない。
それが映画なら間違いなく駄作である。
意図して予想を裏切る目的で線上を張るならまだしも、本当に予想通りの展開しか出来ないなら、ファンは離れて行く。
そして一度離れたファンを取り戻す方法は無い。
他には、最近になってVTuberなる者達が頭角を現し始めたが、彼ら彼女らの人気指標はあくまで配信に来てくれる人数だけ。(多くのVTuberが、生配信をメインに行う事が多い)
例えば、2週間休暇を取ってから再び同じ配信をしても、その間に別の配信者(VTuber)にごっそりファンを奪われるのが常である。
そうなると、休むわけには当然いかないだろう。
YouTuberもそうだが、体がぶっ壊れるまで動画を投稿や生配信を続けるしかなくなる。
どこかで止まれば、それは人気が衰退を始める合図となるのだから
誰も助けてはくれない、別にインターネットには「才能」と「運」を持つ人間がいくらでも控えている。
その都度、スポットライトを他の人間に切り替えるだけで、YouTubeは常に儲かり続ける。
「貴方の存在価値は動画の継続に比例する」
さぁ、死ぬほどあくせく働く準備は出来たかな?
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本書を読んだ感想
YouTubeの副社長が書いた本となれば、自社を大々的に宣伝するくらいの臭い文章だけだと考えていたが、本記事で取り上げたような割と面白い視点を語る事が多かった。
もちろん、海外のYouTuberを取り上げて、様々な分野からの成功者の体験記を載せているが、時には現実的な話をする。
そのギャップに驚かされたと言ってもいいだろう。まさに手に取る前の想像を裏切ってくれた、本の好例である。
終わりに
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