著者・書籍情報
著者:岸見一郎(きしみ・いちろう)
哲学者。1956年京都生まれ、京都在住。高校生の頃から哲学を志し、大学進学後は先生の自宅にたびたび押しかけて議論をふっかける。
京都大学大学院文化研究科博士課程満期退学。専門の哲学と並行して、1989年からアドラー心理学を研究。
他の著書に【幸せになる勇気】がある
書籍:【嫌われる勇気―――自己啓発の源流「アドラー」の教え】
発売日2013/12/12
アドラーはフロイトやユングに次ぐ三大巨頭としてありながらも、その独自の考え方から時代を大きく先行し、当時の人間に理解されることなく過ぎて行った。
そんなアドラーの考え方や世界の見方が今再び息を吹き返し、現代社会に旋風を巻き起こした。
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どんな人にお勧めか?

「私は誰にも好かれない」
「俺は成功しないのは過去に両親がちゃんと育てなかったからだ」
と言うような考えを持っている人には是非とも読んでいただきたい。アドラーがその考えのことごとくを粉砕してくれるに違いない。
変わらいないのは自分の決定による
よく「私の人生は一生変わらない」と考える人がいるが、ある意味変わらなことに安心感を覚えているようにも感じる、
変わることはかなりの恐怖を体感する事になる。
いつもと違う道を歩くのが「近所」なら問題ないだろうが、「異国の地」で地形も知らずに違う道を行くのは恐ろしい。
これは意識も当てはまり、人は変わりたいと思っているのにも関わらず、無意識に変わることへの恐怖を抱いている。
だから「あれこれ」と理由を付けては、その変化を永遠に訪れない存在に昇華させてしまうのだ。
アドラーの心理学は、「勇気の心理学」とも呼ばれ、過去のいつ如何なる経験や体験も現在に影響を与えない。
つまり、変わるのは常に「今」であり、その一歩を踏み出す勇気があればいいだけだ。
人は私の為に生きていない

当然かもしれないが、意外と理解をしている人が少ない。
本書の中では「他人はあなたの為に生きていないし、あなたは他人の為に生きていない」という考えがある意味もっとも重要な部分に感じた。
自分の思い通りに人が動かない事に直ぐに腹を立てたり、他者の視線を気にして迎合することしかできない。
アドラーの考え方からすれば間違っている。
「お前の顔を見ているのは、お前だけだ」本の中に登場するセリフで印象に残っているモノの一つだ。
本来重要なのは、他者から嫌わることを恐れず、自分らしく生きるというもの。
他者がどう感じるかは本人の問題であり、自分の問題ではない。
「課題の分離」これも重要事項だろう。
自分の発言で相手がどう反応するかが気になるから、人前で手を挙げることが出来ない。
自分の考えを友達に話して嫌われてしまうと、思うから周りに合わせて貴重な時間を浪費していく。
これらは全て課題の分離が出来ていないのが原因だ。
自分の為に他人がいるわけではないのと同じく、他人がどう考えるかは自分ではどうにもできない部分、つまり相手の問題である。
何が与えられたかではない

アドラーの言葉で「大切なのはなにを与えられているかではなく、与えられたものをどう使うかである」Cと言っている。
実はほとんど似たような発言をしているキャラクターが居ることをご存じだろうか?
それは、スヌーピーだ。
彼はYou play with the cards you’re dealt.(配られたカードで勝負するしかないのさ)と言っている。
まさにアドラーの言葉を代表するかのような名言だ。
「背が小さい、学力が低い、家が貧乏」人は叩けばいくらでも不平不満があふれ出てくる。
スヌーピーとアドラーの唯一の違いは、変えようのないモノばかりではないという事。
配られたカードはいつでもトレードできる。
例えば、背が小さい事を悩んでいたとしても伸びることはないだろう。だった医学を学んで研究者となり自分で背を伸ばす薬を作ればいい。
出来るか出来ないではなく、やってみることが重要である。
もしかしたら、最終的に薬は出来ないかもしれない、でもその代わりにもっと画期的な新薬が偶然誕生する可能性もある。
いつまでも他人の責任にしたり頼りにしていては、何も変わらない。
他人が与えてくれるのは、あくまでも自分が与えた時だけだ。
自分が変わらない奴に他人を変える力はない。
本を読んだ感想
多分私が読んだ心理学の中では一番科学的根拠というものがない。
しかし、私が読んだなかで一番人を変える力を秘めていると思える。
読んでいて思ったことは、これを実践するのはかなり難しいということだ。それこそ人間が空を飛ぶ為に訓練を積んでいるような気分だろう。
だから、出来る範囲から始めてみようかと考えた。
例えば、相手がどう思うとそれは相手の課題である。
私の発言や文書の内容に、聞いたり見たりした人が何を考えようと究極的にそれは他人事でしかなく、自分ではどうにもならない範囲外にある。
そして他人は自分の為に生きている訳でもない、これは重要な考え方だ。
SNSなどで、いいね!やハートを貰うことを熱心になっている人はこの考え方を持たないだろう。
例えば自分のツイートにいいね!が1つも無かったとしても、フォロワーに激怒するのは間違っているのだ。
自分の思い通りに人が反応しないのは当たり前である。
しかし、世の中はしばしばそれを忘れてしまっている。
私達は今一度、再確認する必要があるように感じた。
終わりに
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