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著者・書籍情報
著者:チップ・ハース
スタンフォード大学ビジネススクール教授、組織行動論を専門とする。GoogleやGAPをはじめとする世界的企業のコンサルティングも行う。
著者:ダン・ハース
デューク大学社会起業アドバイスメント・センターのシニアフェロー。ハーバード大学ビジネススクールでMBA取得後、同大学の研究員を務めた。
書籍:【スイッチ! ──「変われない」を変える方法】
発売日 2016/10/10
どんな人にお勧めか?
「何かを変えたい」
「チームや組織を動かしたい」
と考えている人にオススメとなっている。
様々な例をふんだんに使って、詳しく解説してくれている。
ブライト・スポットを見つける
「ブライト・スポット」とは、お手本となる成功例を見つける行為を指す。別の言い方では「問題の改善点を探すより、出来ている部分を見つけて伸ばす」だ。
本書では、栄養失調で悩むベトナムの貧困の村を例に出し、国に雇われたスターニンという人間にフォーカスして、限られた時間と予算の中で如何にして栄養問題を解決したのかを参考例として載っている。
その物語の中では、「子どもをより健康的にするにはどうすればよいか?」という全体的なテーマに注目するのではなく、貧困ながら栄養が足りている子どもが何人かいるのに気が付き、「栄養不足」自体が問題ではない事が判明した。
まず、健康的な食事を提供している家庭を訪問して、調理方法や扱う食材を見学した後は、村全体にその知識を広める為に簡単なプログラムの一環で、毎日小屋に10家族程度の主婦達を集めて全員で食事の支度をさせた。
このプログラムは、単純に得た知識を村の集会で公言しても行動を促せない事を理解していた為に生まれた。
「知識では行動は変わらないのです。精神状態が不安定な精神科医、太った医者、離婚した結婚カウンセラーはどこにだっています」とスターニンは述べている。
そして、結果的に村の主婦たちがすんなりと新しい調理方法や食材を受け入れ、65%の子どもの栄養状態が改善された。
これには私も感銘を受けた。
と言うのも、経験から言えば「論文」や「誰も知らなような新情報」を人に教えたとして、簡単には動いてくれないという事実を知っているからだ。
以前「人を説得はかなり難しい」ことについて記事を書いた事があるのだが、よく巷に溢れているような胡散臭い交渉術の本では、まず相手を説得するなど不可能。
その点、この例ではスターニン自身の持つ交渉能力というより「村人達が所属するコミュニティなら、簡単に変化を与えやすい」という部分に着目してプログラムを実施したところが特に素晴らしい。
人は自分と共通点が多い人物に説得されやすい事は、良く覚えておくべきだ。
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変化を細かくする
とは言え、ブライト・スポットが分かったから全て解決という事でもない。
やはり行動を促す方法は状況によっても違い。
特に個々人の場合にはコミュニティを利用できない時もある。
そこで次に使われた例は「5分間お部屋レスキュー」だ。
このタイトルを考案したのは、マーラー・シリーという人物だ。
内容は至って単純で、キッチンタイマーを五分セットし、自分の部屋で一番汚れている場所を選んで掃除をする。
5分過ぎたら、手を止めてそれ以上は掃除しない。
これのどこに、注目すべきところがあるだろうか?
特に「無い」
しかし、面白くもない作業に重い腰を上げさせる点にフォーカスする必要がある。
元来、人間の脳は楽しくない事を続けるのは、得意ではない。(会社の仕事や学校の授業を経験した人なら理解できるだろ)
そして、そんな脳にやる気を起こさせる為には「これからやろうとしている事は、キツイ仕事ではない」と思わせないとダメだ。
そこで5分と言う「具体的で短い時間」を設定し、小さな行動を起こさせる。
例え5分だとしも、部屋を掃除すれば確実に綺麗になって行く。
その積み重ねが、好循環を生み出し、やがては習慣にまで持って行くことが出来る。
他には会社で「予算を5%削減」したとしよう。
それを、いきなりそれを公言してたところで、誰も動かないが「事務用品代・研修費・交通費・などを5%削減できないか?」などと具体的で細かくすることにより、聞いた人も動きやすくなる。
変化を細かくするとは、具体的かつ難易度がイージー以下でなければならない。
環境を変える
「ブライト・スポット」に「変化を細かくする」と来て、3つ目は「環境を変える」だ。
人間には、ある環境的要因を排除して他者の行動を判断してしまう「根本的な帰属の誤り」という傾向を有している。
分かりやすく言えば、大切な約束を何時間も待たされたり、並んでいたレジの列に誰かが割り込んでくると言った状況を経験した後に、車を運転すれば多少なりとも乱暴な運転になることもある。
しかし、傍から見たら「運の悪い出来事があって、イライラしているから運転が荒いんだな」とは思わない。
普通なら「危険なドライバーだ」となるだろう。
これが「根本的な帰属の誤り」というもので、その人に起きた前後関係を無視して今目の前で起きている出来事だけで他人を判断してしまう傾向を指している。
そして本書では、ある企業のタイムカードの例を出している。
新しいデジタルタイムカードに切り替えたが、多くの従業員がアナログな手書きタイムカードを使用していた。
会社の上層部は「新しい技術に反抗的な集団」と考えていたが、とある1人のコンサルタントがその事について詳しく調べた。
すると、デジタルタイムカード側に重大な欠点が見つかり、結局のところアナログの方が手間が省けている状況を目にして、直ぐさま改善をしたところデジタルタイムカードの利用率が急激に上がり、最終的には殆どの社員がデジタルでタイムカードを利用し始めた。
この話で重要なのは、単純にデジタルを利用しないのは「社員たちが新技術を嫌っているから」という本人の性格に問題をフォーカスしていた点だ。
しかし、実際に調べてみれば問題なのはデジタルタイムカードの方、つまり環境のせいであり、使いにくいという重大な欠点を持っていた。
そこで、急いで修正を施すと殆どの社員がデジタルに移行し始めた。
上層部は「根本的な帰属の誤り」を見抜けないせいで、あわや社員と衝突するところだった。
こう言った、人間の持つ偏りを理解する事は個人であろうとも、企業やチームであろうとも重要なことだ。
それを、上手く例を使って説明してくれている。
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本書を読んだ感想
紹介したのは、全体のほんの一部であり、他も様々な例や方法を沢山のせいている。
もちろん、全てが使えるとは全く思わないが、ヒントになるよい教材と考えれば、そこいら辺の教科書よりも安くて良心的だ。
終わりに
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ではまた。
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