スポンサーリンク
第2の人格で成果を出す
皆さんの中には、昔テレビで見たり漫画で読んだキャラクターの真似をしたことがある人がいるかもしれません。
仮面ライダーやプリキュアなどなど憧れた人物になったつもりで、友達とふざけ合った人もいたのではないでしょうか。
実はそれ、大人になっても使える戦略だって言ったらどうしますか?
今回紹介するのは、オルターエゴと呼ばれるものです。
オルターエゴの始まりは、紀元前1世紀のローマの政治家で哲学者のキケロが語ったところからとも言われています。
実際、彼の哲学書には「第二の自己。信頼できる友」と意味で使われていた。
ラテン語では「もう一人の自分」を意味する。
そもそもオルターエゴとは、自分の傷付きやすい一面を守り、創造的な一面をもっと伸ばすためフィールドに合わせてキャラクターを演じることを指します。
自分の尊敬できる人物を利用して、それを第二の人格として生かすそれがオルターエゴの凄い所です。
歴史上の人物も使っていた
歴史上の有名人を一人上げるなら、マーティン・ルーサー・キング・ジュニアが代表的な人物の一人だ。
彼は、「威厳があるように見えた」という理由だけで視力が良いにも関わらずメガネを着用していた。
オルターエゴでは、必ずしも過去や現在に存在する特定の人物を模倣するのではなく、その都度なりたい自分に合わて、この世に居ない人物を頭の中で作り上げることも出来ます。
キング・ジュニアの場合には、威厳のある人間になりたかったのでメガネを(変身アイテム)として使い、あたかも電話ボックスで変身をするスーパーマンの如く別の人間に切り替わった。
因みに、様々な研究でもメガネをかけた人は誠実で、勤勉で、頭が良くて頼りがいがあると見られやすいということが証明されている。(1)
プロのアスリートなども、自分だけの変身アイテムを持っており、必ずしも身に着けられるようなモノばかりではなく、例えば試合開始前に特定の音楽を聞くとか顔の汗を拭きとる動作などを人格の変身に使う人もいる。
オルターエゴは、どんな人物を変身の対象としてもいいし、変身アイテムも余り制限がないのだ。
スポンサーリンク
キャラクターに成り切って成果を出した実験
最近では、複数のアイデンティティを持つというアイデアは、研究者達も高く評価している。
ミネソタ大学が4~6歳の児童を対象に行った調査では、子ども達に忍耐力を身に着けさせるには、親は「バットマンか、お気に入りのキャラクターになったつもりで我慢しなさい」と教えるのが効果的だったようだ。(2)
実験では、子ども達を三つのグループに分けた。それから鍵のかかったガラスケースにおもちゃを入れて、子ども達に複数のカギが着いたキーホルダーを渡した。
その鍵はどれも箱を開けることは出来ないが、研究者たちは子どもの実行機能を伸ばす方法を何か?どれくらいで断念する調べようとした。
研究者は、子ども達に「バットマンのフリをする」ようにマントなども渡したり、女の子は「ドーラといっしょに大冒険」の主人公であるドーラを選択できた。
すると、ケースを開けようと一番長く粘ったのは、自分をバットマンだと思いこんだ子どもだったのだ。
この研究から、アイデンティティの威力すなわち自分がどんな人間だと認識するかで状況は一変できることや、一時的に別人格を呼び起こすとどうなるかが見てとれる。
スポンサーリンク
成功を妨げる者
あなたの今の性格に悪影響を与えて、変化を起こさせないようにしている者。
オルターエゴではそれを「敵」を呼ぶ。
心の葛藤を生み出したり、あなたの成功するのを邪魔したりする。
敵は、不快感や他人の目だけでなく特定の信念や価値観が混ぜ合わさった思い込みやスキル、能力などの特徴が肥大化して行動に制御を掛けてくる。
交渉の場で相手の言いなりになったり、ボールをパスしてしまったりなど、あなたの行動を常に邪魔しようとしている。
敵は、あなたの動機や理由を助長することも、損なうことも出来きる。
「お前には、そんな才能はないぜ」
「やめとけ、リーダなんかできる訳ない」
と言った声が、本領の発揮する際に敵として立ちはだかる。
他にも、インポスター症候群や心的外傷、心の声などが敵を召喚する原因となる。
例えば、インポスター症候群はどれだけ頭が良くても「運が良かっただけ」とか「次は失敗する」など自分の成果は仮初めだとして片づけてしまうものだ。
心的外傷は、過去のトラウマから乗り越えようとすると「それを乗り越えられた奴はいない」など足を挫こうとしてくる。
まずは敵の正体を知り、対策を立てなくて行けない。
敵の正体を知る
何かに挑戦中に敵が現れると、ついネガティブな言葉を吐いてしまいがちになるだろう。
例えば大事な試合中に、失点を繰り返した時には「何やっての」とか「どうして巻き返せないの?」などとネガティブなセルフトークをしてしまう人もいる。
複数の研究でも、セルフトーク自体には効果があり、実際にパフォーマンスを向上させることが判明している。
しかし、それがネガティブだった時どうなる?
多分、プラスに働くことはないだろう。
そこで、オルターエゴは「敵」を認識しやすいものにして対処を簡単にするためのステップがある。
それは簡単な事だ。
敵に名前を付けてやればいい。例えば、ダースベイダーでも、ジェイソン、ターミネーターでも自分の嫌いな人でも何でもいい。
なんなら、存在しないような新たな人物を名前付きで作り上げてもいい。重要なのは、漠然としていた敵を具体的な姿まで落とし込むことが重要なのだ。
そしてそんな相手が話しかけてきた時には、
「お主は失敗する」
「おいおい、勘弁しろってベイダー。お前のオペラマントほどチョイスをミスっているものはないぜ」
と言い返してやることが出来るようになる。
スポンサーリンク
平凡な世界を脱する
多くの場合、平凡な世界にくらべて非凡な世界ではより多くの意義、計画性、責任感んが必要となる。
しかし、多くのビジネスマンやアスリートたちが内なる「敵」と戦う為に、オルターエゴを活用している。
そして、プロの世界で重要になるのは「ゾーン」や「フロー状態」にどれだけ早くは入れるかが問題だ。
そこで重要なのが想像力だ。
スティーブン・コトラーによると、想像力を使うと心の創造的な部分が活性化し、敵がささやくネガティブなセルフトークや批判を回避できるという。
実際の研究でも、クリエイティブな仕事をしている間は、ネガティブなセルフトークや自己不信や批判が起きにくいことも明らかになっている。(2)
まずは、オルターエゴを使ってどんな成功を収めたいかを意識する。
紙を用意して、自分がやりたい事や成功したいものを書き出す。
「本を読みたい」とか「営業成績で一位になりたい」と言ったものを12個程度書き出そう。
そして、それらを実行する為に具体的にどうしたらいいのかも紙に書き出すのだ。
すると書き出したそれらは、あなたが最もオルターエゴを発動した瞬間であることがわかる。
つまり、第二の人格で達成した目標が見えること。
オルターエゴを身に着ける
ここからが本題だが、オルターエゴを身に着けるためには自分のなりたい人をイメージする必要がある。
自分の知り合いでも、漫画のキャラクターや動物でも結構だ。または、特定の有名人をミックスさせて新しい名前を持たせてもいい。
そして選んだキャラクターには、紙に書き出した目標を達成する為に必要な超能力と呼び名を持たせなけらばならない。
「振る舞い、思考、感情、行動、信念、価値感」など特徴を色々考える事が出来る。
オルターエゴ(キャラクター)か超能力のどちらが先でも問題ない。重要なのは自分がその人のオルターエゴを選んだ理由を振り返り、その特徴を読み解いてオルターエゴのアイデンティティを分解する必要があるのだ。
そして最後は変身アイテムを見つける
記事の冒頭ではキング牧師を挙げたが、他のもウィンストン・チャーチルも変身アイテムを活用していた。
彼は家から出る時に、壁に掛かった帽子を取ってそこからその日の自分の性格を決めていたそうだ。
そう言った変身アイテムは、例えば着る服一つでも試験で良い結果を残せるのだ。
ノースウェスタン大学のケロッグ経営大学院が行った実験によって、人が服装の重要性と、その服装が「象徴的に意味するもの」を理解していると、心理的に大きな影響をもたらす。
実験では、白衣が学生達の集中力と正確性にどう影響するのかを調べた。
すると、白衣を着ていない場合、または画家を連想させる格好をした場合には学生たちの集中力はアップしなかった。
しかし、白衣を着てなおかつ医者を連想した場合にのみ、学生達の集中力はアップした。
影響力の大きさは、その服を着ていてなおかつその象徴的な意味を理解しているどうかが重要である。
つまりあなたがオルターエゴで利用したい人格が、どのようなアイテムでスイッチを切り替えるのかを理解していないといけない。
そして変身アイテムは「身に着ける」「持ち運べる」「目的に関係する」を守って選ぶことが重要になる。
例えば身に着けるものなら、靴下でも制服でもなんでもいい。持ち運べる物は、ペンでもリュックでも結構だ。
「目的に関係する」は、例えば会議室に入る入り口を人格切り替えのスイッチにしてもいい。ただしそれは、汎用性が高いものでなくてはいけない。
そして最後に注意して欲しいのは、自分がオルターエゴを使う瞬間以外で変身アイテムは身に着けないことだ。
さらに余り持ち運びが出来ない物オススメはしない。それだけをよく理解してオルターエゴを活用すれば、今まで自分とは一味違う新たな人格を生かして目標を達成できると考えらる。
終わりに
最後までお読みいただきありがとうございます。よろしければ読者登録やはてなスター、Twitterのフォローをお願いします。
一応お便りでリクエスなんかも受け付けています。
併せて読みたい記事はこちら!
参考文献
論文
・(1)M.J. Brown. E. Henriquez, and J. Groscup. "The Effects of Eyeglasses and Race on Juror Decisions Involving a Violent Crime," American Journal of Forensic Psychology 26, no. 2 (2008): 25-43.
・(2) Rachel E. White, Emily O. Prager, Catherine Schaefer, Ethan Kross, Angela L., Duckworth, and Stephanie M.Carlson, "The 'Batman Effect': Improving Perseverance in Young Children," Child Development, December 16, 2016.
・ Frode Stenseng, Jostein Rise, and Pal Kraft, "Activity Engagement as Escape from Self: The Role of Self-Supperssion and Self-Expansion," Leisure Sciences 34, no. 1 (2012): 19-38.
・(3) Steven Kotler, "Flow States and Creativity," Psychology Today, February 25, 2014, https://www.psychologytoday.com/us/blog/the-playing-field/201402/flow-states-and-creativity.