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フリーランスにおける問題
今の時代、中学生が副業で稼いだり、幼い子どもがYouTubeで遊んでいる映像を投稿するだけで何億と言った金額を稼ぐ時代になった。
そして現代の社会では、一つの企業に長年勤めるという終身雇用的な仕事形態の会社は減り、そもそも一つの会社すら10年後には存続しているかどうか怪しくなっている。
そうすると、多くの労働者は副次的な収入を確保しなければ、本業の仕事だけでは賄えなくなるのも現実の問題として存在する。
近年では、フリーランス(特定の企業に属さず、自分の技術を提供する)の存在が全面的に押し出されて、既存の企業に縛られず人間関係の問題も抱えない、その姿はある意味理想の形態のように映し出されている。
「そして自由業」などと呼ばれて、SNSにはフリーランスを目指す人が多くなっている。
がしかし、本当に企業に勤めず自宅や専用スペースで作業する方がいいのだろうか?
今回はそんな疑問を抱いたので話していきたい。
健康に与える影響
まずアメリカなどでは、ギグエコノミー(ネットを通じて単発の仕事を受注などを請け負ったり、それによって成り立つ経済)が健康に悪影響を与える一つの要因として捉えられている。
フリーランスはその一例だ。
2015年にフリーランサー組合が、アメリカ人就労者の1/3が何らかのフリーランスを働いたと報告した。
当たり前だが短期的な契約などで働くと、一般企業のように休みも無ければ何の保証もない場合が多い。
大抵、副業を中心に活動する人の方が多いだろうが、それでも同じ時間だけ働いたサラリーマンより高い金額を稼げる人は少ない。
別に副業を悪いと言っている訳ではなく、単純な比較だ。
さらにフォーチュン誌ではギグワーカー平均月収が掲載され、DoorDashが229ドル、Uberのドライバーが364ドル、Lyftのドライバーが377ドルということが明らかになった。(1)
これらの金額は何かのスキマ時間で稼いだのでなければメインの活動として割に合う金額だとは言えない。
また、「ファイバー」と呼ばれるフリーランサーを扱うマーケットプレイスでは、印象的な広告として「たとえセックス中でもクライアントからの依頼に応えるように」という奨めを出している。(2)
そう言った不安的な臨時雇用が健康と幸福に及ぼす影響では、39の国を対象にした調査がある。
不安雇用は労働の安全衛生を悪化させおり具体的には、けがや病気になる確率の上昇、危険因子への暴露の増加、労働安全衛生法規上の責任に関する労働者及び管理者の知識不足が顕著に認められる
出典元:(3)
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フリーランスや副業は本当に栄えるのか?
現代、特に日本では若者が将来に貰える年金は絶望的で、「老後2000万円問題」などが国民の不安感を煽り「何かしなくては」と焦らせる要因になったのは大きいだろう。
副業を始めたキッカケがそう言った外的要因なのは問題ない。問題なのが、後から参入した新参者を現在の副業・フリーランス業界は受け入れられるのだろうか。
もっと単純な言い方をすれば、「既に飽和していないか?」だ。
企業やプラットフォームが受け入れを拒むことはないだろう。
ブログにしてもYouTubeにしても、広告主からすれば投稿者がどれだけ稼げるかなどどうでもいい。
広告さへ載せてくれれば、企業としては広告料を相手から貰うことができる。
だから、「来るもの拒まず去る者追わず」という構図が出来上がる。
そして私達は往々にして、楽観的な考えを持って参入する。
「俺も副業を始めよ!」と言って意気揚々と来たは良いが、周りと差別化を図る方法に苦しむ。
ビットコイン然り、YouTube然りで今更参入するのは、果たして賢い選択だろうか?
例えば、オッフェンブルク大学の調査でYouTubeの広告収入だけで生活出来ている人は世界規模でピックアップすると、なんとたったの3%程度しかいない。
さらに、生きて行くギリギリの生活(年収150程度)を送るYouTuberを含めて3%と考えれば、あの有名な人たちは上位0.1以下だろう。
とても現実的ではない。
また2018年にオックスフォード大学が行った調査では、アジア圏を対象にフリーランスの658人インタビューを行った。(4)
ギグエコノミーで幸福度が上がったかどうかを問われて分かったことは、「最初は自由になることで幸福度が上がるが、長い目で見るとマイナスの影響がある」という事だった。
その理由は単純で、不安定な賃金やスケジューリング、さらにフリーランスとして安定した収入を得るには評判を気にしなければいけない事が挙げられる。
会社での「ミスしちゃいました」が、フリーランスでは仕事の終焉を呼びかねない。
当然メンタルにダメージを与える要因になりうる。
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だが、現代は副業の時代
だがここまで、フリーランスや副業についてアレコレと言わして頂いたが、結局のところ副業程度はやった方がいい。
一番最初にも述べたが、一つの企業が10年先まで存続しているとは限らない。
そこで副業をしていれば、何かあった時に上手く切り替えを行うことが出来る。
さらに予想外の才能に出くわす可能性もある。
今まで文章を書くのが好きでない人が、趣味でブログを始めたら人気を博してトップブロガーになる事もあるだろう。
YouTubeに投稿した何気ない散歩動画が、ヒットして新たな分野の開拓を担うことがあるかもしれない。
自分の新たな可能性という意味では副業は、素晴らしい手段だと言える。
さらに言えば有名な起業家達の多くは本業の傍らで副業で初めて成功した人達が多い。
以下は参考例だ。
当時陸上選手だったフィル・ナイト(ナイキの創業者)は1964年、車のトランクにランニングシューズを乗せて販売をはじめたが、1969年までは会計士としての仕事の続けていた。
スティーブ・ウォズニアックらは初代アップルコンピュータを発明した後、1976年にスティーブ・ジョブズと共同でアップルコンピュータを設立したが、1977年までヒューレット・パッカードでエンジニアを続けていた。
グーグルの創業者ラリー・ペイジとセルゲイ・ブリンは、1996年にネット検索の性能を劇的に向上させる方法を見いだしたが、1998年までスタンフォード大学院での学業を継続していた。「グーグルはもう少しで創業されないところだった」とペイジは語っている。「博士号課程をやめるのことが不安だった」からだ。
出典元:ORIGINALS 誰もが「人と違うこと」ができる時代
この様に、今ある企業の創業者達も単身で起業したというよりは、本業の合間でやっていた仕事が成功してから社長になったりしたことがわかる。
ここから言えるのは、副業は様々なチャンスを得る為の機会だと捉えても問題はないだろう。
もちろん、何でもそうだが両手話に「フリーランスになれ」とか「副業しかねぇ」と言うのは果たしてデメリットに目を向けられているのか?という点が気になる。
だが、やはり出来る範囲で挑戦すること自体は有意義ではないのかと考える。
終わりに
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参考文献
書籍
- アダム・グラント「ORIGINALS 誰もが「人と違うこと」ができる時代」(三笠書房、2016年)
- アダム・グラント「GIVE&TAKE 「与える人」こそ成功する時代」(三笠書房、2014年)
- ジェフリー・フェファ-「ブラック職場があなたを殺す」(日本経済新聞出版社、2019年)
- 鈴木祐「科学的な適職 4021の研究データから導き出す最高の職業の選び方」(CrossMedia Publishing、2019年)
論文
- (1)
- (2)
- (3) Michael Quinlan, Claire Mayhew, and Philip Bohle, " The Global Expansion of Precarious Employment, Work Disorganization, and Consequences for Occupational Health: A Review of Recent Research," Globalization and Occupational Healtb, 31 (2001):335-414.p.335
- (4) Alex J. Wood Vili Lehdonvirta Mark Graham(2018)Workers of the Internet Unite? Online freelancer organisation among remote gig economy workers in six Asian and African countries