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企業から個人まで重要な場面でミスしない科学的な決断方法

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決断に影響を与える4つの罠

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 皆さんの多くは、小さな決断(どんな服を着るのか)や大きな決断(交際相手と結婚するかどうか)などを絶え間なく決断をしなければ行けない状況に今後出会う可能性は高いでしょう。

 しかし、その決断が必ずしも自分の望んでいる状況にならない事も十分にあります

 ここでは、人が決断をする際に意思決定を邪魔する4つの罠について話して行きたいと思います。

  1. 視野狭窄
  2. 確証バイアス
  3. 一時的な感情
  4. 自信過剰

 以上の4つが主に原因で判断を誤る事があります。

 

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視野狭窄 

 

 視野狭窄とは、ある選択肢を狭めすぎて判断を「白か黒」で考えがちになる事を指します。

 カップルなら、「相手との関係を改善する方法について考える」よりも「相手と別れるべきかどうか」を先に考えてしまうような状況。

 何か新しい物を買う時には、「この商品を買わないことで、他に買える物は何か?」と考えるよりも「この商品を買うか買わないか?」でしか考えない状況。

 意外と身近な場面で私達は視野狭窄に陥っていることに気づくでしょう。なので後半では、視野狭窄に陥らないようにするテクニックを紹介します。

 

確証バイアス

 

 確証バイアスは、ある状況で自分の考えに対して、その主張を裏付ける情報だけ探す習性を指します。

 例えば1960年代に行われた研究(1)で、喫煙者は「喫煙は肺がんを引き起こす」という見出しの記事よりも「喫煙は肺がんを引き起こさない」という見出しの記事を重要視していました。

 企業では、上司の主張を「裏付ける情報」と「否定する情報」のどちらがより多く採用されやすいのかを考えて頂ければ、十分に理解できると思います。

 

一時的な感情

 

 一時的な感情とは、難しい決断に直面すると、様々な状況を考え過ぎて目の前が見えなくなること指します。

 一歩距離を離して、今自分が置かれている状況を俯瞰して見ることが出来なくなっている状況が主に該当するでしょう。

 

自信過剰

 

 自信過剰については余り多くの説明は必要ないですね。自分の判断に自信を持ち過ぎている余り、確証バイアスや視野狭窄と言った他の要素も巻き込んで間違った方向に一直線してく状況が主に該当します。

 ある調査では、医師が自分の診断について「100%確信している」と言った時でも、全体の4割は間違っているという結果が出ており、自信過剰の恐ろしさを垣間見ることが出来ます。

 

 

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視野狭窄の対策「選択肢を広げる」

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 カーネギーメロン大学のバルーク・フィッシュホフは150名の少女達に対して意思決定プロセスについてインタビューを行ました。(2)

 その結果、決意表明と呼ばれる選択肢のない意思決定が一番多く、二番目に一つの選択肢に対して「~すべきか否か」という形式の意思決定が続きました。

 これらの調査からは、彼女らは何かを決断する際に複数の選択を提示してその中から選ぶのではなく、「やる」か「やらないか」という選択肢で物事を決めているという事でした。

 これでは誤った決断をする可能性は十分にあります。

 意思決定に置いて最も重要なのは、AとBだけでなく、C・D・Eと複数の選択肢を用意して置くこと。当たり前に聞こえるようだが、多くの場合に目の前の判断を「やる」か「やらないか」という範囲に狭めています。

 ある研究では(3)、ビデオを「買う」か「買わないか」の選択に「同じ値段で別の物を買う」という第三の選択肢を入れた場合、「買わない」という判断になる確率が2倍になります。

 さらに、「選択肢の消去テスト」と呼ばれるテクニックもあり、これは「今考えている選択肢がどれも選べないとする場合に、他に何ができるか?」を考えるものです。

 例えば、ある役に立たない社員を解雇するかどうかで悩んでいた時、「社員を解雇出来ないときには他の方法があるか?」と考える事で、「あえて他の部署に配属して見る」とか「他の社員を効率よく動かす」などと新たな視点で見ることが出来るようになります。

 「AかB」という選択肢だけでなく、「両方」選べる方法は無いかのか?と考えることでも別の視点は獲得できます(4)。

 「類推」と言って自分が直面している問題に、過去同じような問題に直面していた人が居ないのか?その人はどうやって問題を解決したのか?を調べて判断材料にするという方法も選択肢を広げるのに役立ちます。

 

確証バイアスの対策「仮説を確かめる」

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 8000人以上が参加した91件の研究を調査したメタ分析では、私達は反証的な情報よりも確証的な情報を重視する割合が2倍以上も高いことが分かりました。

 さらに分析から判明したことは、宗教や政治といった感情的な要素が多くを占める分野では確証バイアスが強く働くことでした。(5)

 この問題を解決するには「ウーチング」というものがあり、「これから実行したいこと」についてお試しするという方法です。

 分かりやすく言えば、スーパーの試食のようなものです。新商品の試食をしないまま、購入するのはリスクがありますよね。

 別の例では、大学のオープンキャンパスが該当します。

 右も左も分からない状態で自分の行きたい大学に入学する人は少なく、まずはオープンキャンパスに参加して模擬授業を体験してみるという方法を多くの人はとります。

 実際、ニューヨーク市立大学ハンター校では、理学療法士の仕事を100時間以上見学しない限り入学を認めていません。(6)

 これは、自分の目指している職業について基本的(メリットとデメリット)を理解した生徒だけを集める方法です。すると、最後まで卒業できずに退学する生徒数を減らすことが出来ます。

 企業で言うなら、実行したいプロジェクトが本当に利益をもたらすのか「試作品を作って顧客の反応をみる」という方法で行われていることが多いです。

 上記のことで共通しているのは、「大丈夫だろう」「行けるだろう」といった確証バイアスを無くする為に「まずはちょっと試して見る」という行動を起こしている点です。

 

一時的な感情の対策「距離を置く」

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 ビジネスライターのスージー・ウィルチが発明した「10-10-10」という手法があります。

 これは、自分が下した決断について10分後、10ヶ月後、10年後という時間で「私はその時どんな風に考えているだろう」というイメージを頭の中にもつことです。

 例えば、自分の恋人と別れるべきかどうかで悩んでいた場合には、「分かれるという決断をしたら10分後、私はどう感じているのか?10ヶ月後は?10年後は?」と考えます。

 このように考える事で、「10分後は暗い気持ちかもしれないけど、10ヶ月後にはもう忘れているだろう、10年後には新しい相手と付き合っている」という風に思考することが出来るようになります。

 今という考えに囚われず、遠い未来で自分がどう考えているのかを想像することで新たな視点に立つことが出来るようになります。

 他には、「優先事項を決める」という方法もあります。

 医者の場合なら「患者を最優先」というのが優先事項であり、患者に関わる問題には妥協はしませんし、患者以外を優先するような提案は即座に却下することが出来ます。

 企業でも使われたことがあり(7)、決定スピードや何を優先にするかを迷わないことが判断ミスを減らすことに繋がります。

 

自信過剰の対策「備える」

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 心理学者のゲーリー・クラインは、「事前検屍」という意思決定テストを考えました。(8)

 この「事前検屍」とは、これから実行するプロジェクトが「なぜ失敗したのか?」を予め考えて備える為の方法です。

 自信過剰に陥ると、何でも上手く行くと考えてしまうために、失敗した時の対策がおざなりなっている時が殆どです。

 しかし、「事前検屍」を予め行っておくことによって、万が一にも失敗した時には対応策を用意して被害を少なくするという方法を取れるようになります。

 同時に、大成功した場合にも備えをする必要があります。「前祝い」を事前に想定しておくと、予想外のヒットを記録した時でも滞りなくプロジェクトを進めるこことが出来ます。

 マックス・シムコフが考え出した「RJP」と言うものがあります。これは事前に失敗を予測する方法を取り入れた、採用アプローチです。

 例えば、自分が就職しようとする企業がどんな問題に直面し、どんな技術が必要なのかを先に教えることで就職した社員が訪れる困難に備えることが出来ます。

 実際、多くの企業は当たり障りのない紹介文をホームページに載せています。

 しかし、社員が日々どんな課題や問題に直面し、どのように解決しているのかを明確に載せることで、求職者が入社してからやらなければいけない問題に備える心構えとして機能します。

 「RJP」に関する40件の研究を分析すると、採用した企業において離職率が一貫して減少していました。(9)

 自分に合うのか合わないのかを知る以上に、起きた問題を「想定の範囲内」としてストレスを感じにくくなる予防接種のような効果が期待できます。

 

終わりに

 

 多くの場合、決断をする瞬間よりも前の段階で重要なプロセスを行えていないことが原因で失敗することはあります。

 私も確証バイアスとか自信過剰には十分注意しないと行けない、と改めて考えさせられました。

 


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参考文献

 

Think Smart 間違った思い込みを避けて、賢く生き抜くための思考法 (サンマーク出版,2020年)

決定力! ――正しく選択するための4つのステップ (早川書房、2016年)

・(1)Timothy C. Brock (1965), "Commitment Exposure as a Determinant of Information Receptivity ," Journal of Personality and Social Psychology 2: 10-19 66

・(2)Baruch Fischhoff (1996), “The Real World: What Good Is It?)," Organizational Behavior and Human Decision Processes 65: 232-48

・(3)Shane Frederick, et al. (2009), "Opportunity Cost Neglect ," Journal of Consumer Research 36: 553-61.

・(4)Heidi Grant Halvorson and E. Tory Higgins (2013), Focus: Use Different Ways of Seeing the World to Power Success and Influence, New York: Hudson Street Press

・(5)William Hart, et al. (2009), “Feeling Validated Versus Being Correct: A Meta-analysis of Selected Exposure to Information,” Psychological Bulletin 135: 555-58

・(6)http://www.hunter.cuny.edu/pt/admissions/clinical-experience- requirement

・(7)Jim Phills (2006), “Interplast's,” Dilemma Stanford Graduate School of Business, Case SI-14

・(8) Gary Klein (2009), Streetlights and Shadows: Searching for the Keys to Adaptive Decision Making Cambridge, MA: MIT Press, pp. 63, 235–236.

・(9)Jean M. Phillips (1998), "Effects of Realistic Job Previews on Multiple Organizational Outcomes: a Meta-analysis Academy of Management Journal 41: 673–90