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行動の科学から、人がズル賢くなる理由とは

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 はっきり言わせてもらおう。あいつらはズルをする。あなたもズルをする。そしてそう、私も時々はズルをする。

byダン・アリエリー


 

 

 

 

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お金から距離を置くと嘘が増えるのか?

 

 行動経済学者のダン・アリエリーは、人は同僚や同級生の鉛筆を盗むのに抵抗を示すが、職場からは迷うことなくコッソリと鉛筆を頂戴できるのか?また、自宅用のプリンター用紙を職場から盗むのに、他人の財布からお金を拝借する奴はいないのはなぜ?について心理的に考えた。

 MIT大学の学生寮の冷蔵庫に6パックのコーラを入れて、別の冷蔵庫には1ドル札の乗った皿を置いた。

 その後何度かコーラとドル札の減りぐわいを確かめたが、コーラはすぐに無くなったがドル札は1枚も盗まれる事は無かった。

 学生は一ドル札をとって、近くの自動販売機まで行き、缶コーラを手に入れ、お釣りまでものにすることができたのに、誰一人そうしなった。

 これは素晴らしい実験では無いが、我々は人間が顔の描かれていない物を、隙あらば盗む可能性を示唆してた。

 そこで現金と不正に及ぼす影響を、より制御された方法で調べるために実験を行う。

 

実験1

 

 被験者には数字を探してもらうが、問題を解いたら答え合わせをして、それをさらにシュレッダーにかけてた後に、研究者に何問正解したか答えてお金を貰うグループ(ごまかし可能)と、問題を解いたら答案用紙を研究者に渡してから、正解数を答えてお金を貰うグループ(ごまかし不可)に分けた。

 そしてさらに、「トークン(代用硬貨)」が登場する。これは正解数に応じて、その場でドル札を渡すのではなく、代わりにプラスチック製のチップで支払われた。

 そしてチップを受け取ると、3~4mほど離れたテーブルまで歩いていって、そこでトークンと引き換えに正真正銘の現金を受け取ることになる。

 

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結果

 

 実験の結果、数秒後には現金に引き換えられるトークンを、嘘を言って手に入れた協力者(トークンあり)は、現金を直接手に入れる為に嘘をいった人たち(トークンなし)に比べて、二倍も多くごまかした。

 ほんの少し現金から小さく(トークに変わった)一歩離れただけで、これほどまでに誤魔化しが増えたことに、驚かされる。

 この結果から、人が鉛筆やトークンといっ金銭で無い物を前にすると、本物の現金を前にした時より不正をしやすいことがハッキリした。

 だとすれば、現代社会におけるキャッシュレス化が進むにつれて、私達の道徳的方針がますます損なわれるのではないかと考えらる。

 現金から一歩遠ざかっただけで、これほどごまかしが増えるなら道徳的観点から言うと、クレジットカード番号を盗むのは、人の財布から現金を盗むのに比べて、ずっと簡単なのだろうか。

 現金から一歩離れると不正直になるかもしれないと自覚すれば、自分の行動が影響を及ぼすかもしれない人との繋がりを、はっきりと意識するようになるだろう。

 

誤魔化しを減らすには

 

 道徳的規範(たとえばモーセの十戒)を思い出し、意識することが、自分自身の行動に対する認識に及ぼす影響があるかもしれないことに、注目して実験を行った。

 

実験2

 カリフォルニア大学ロサンゼルス校で実験を行い、集まった450人を二つのグループに分けた。半数の人には、十戒を出来るだけ思い出して書いてもらい、それから数字探し課題でごまかしをするように誘惑した。

 残りの半数には、高校の時に読んだ本の題名を10冊思い出してもらってから、数字課題とごまかすチャンスを与えられて野に放った。

 

結果

 結果は、10冊の本を思い出したグループには、例によって全体的に僅かにごまかしが見られた。

 だがこれに対して十戒を思い出すグループは、誤魔化しを一切行わなかった。しかも、十戒を全部思い出せた人は一人もいないのだ。

 さらにこの効果を調べる別の試みとして、無神論者名乗る人達を集めて、聖書において宣誓してもらってから、数字探しをやらせたが誤魔化しをしなった。

 しかし、聖書を持ち出すやり方は合理的(持ち歩いて人が少ない)ではないので、イェール大学とMITの学生を対象に実験を行い、半数の学生には数字探しの課題の下に「わたしはこの実験が、MIT/イェール大学倫理規定の元に行われることを承知します」という署名欄作り、そこに記入してもらった。

 すると、規定文面に署名したイェール大学とMITの学生は、どちらも誤魔化しをしなった。しかも、実際にはそんな倫理規定は存在しないのにだ。

 

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私達はズルをする

 

 ダン・アリエリーとニーナ・メイザーとオン・アミアらは、我々人間がどうやってごまかしをするのかを調べた。

 参加した学生に数字探しをしてもらい、その中に様々な条件を加えて見た。

 数字探しは行列が20並んでいて、行列内の数字のなかから、足し合わせると10になる仏の数字を探すのが彼らの仕事だ。

 時間内に多くの問題を解き、正解一問につき50セントの報酬が支払われるのだ。

 実験では集まってもらった協力者に数字探しの課題をやらせるが、研究者の「始め!」の合図で、協力者は問題用紙一斉に解き始めさせる。

 対照条件のグループで問題が解けたとして大した稼ぎにはならないだろう。ところが誤魔化しのチャンスがある「破棄条件」に入れられた場合、シュレッダーで破棄してから正答数を研究者に報告するので嘘を言っても問題ない

 となると、報酬を多く貰いたい学生にとっては好都合だろう。

 そして二つのグループの協力者は、やはりと言ってもいいくらいに違った。

 誤魔化しのチャンスがあったとき、多くの協力者が実際に得点を誤魔化した。対照条件では、協力者の平均正解数は4問だったが、破棄条件の協力者は6問だった

 得点を大幅に水増した人は少数だっが、少し水増した人は大勢いた。

 

報酬を増やせばごまかしも増える?

 

 合理的犯罪モデル(SMORC)では、ごまかしをしてもバレなけらば罰せられたりせずに、より多くのお金が得られるチャンスがあれば、人はもっとごまかしをするらしい。

 これは単純で直感的に分かりやすい考え方なので、次はこれが本当に正しいか調べることにした。

 

実験3

 

 先ほどの数字探しにちょっと手を加える。協力者が正解したら支払われる報酬に幅を持たせて、50セント、1ドル、2ドル、5ドル、といった報酬を設定した

 どんな結果が出ただろうか?ごまかしの量は報酬の金額とともに増えただろうか。

 同時に別の実験も紹介する。別の協力者グループに、数字探しのテストを受けてもらうのではなく、破棄条件と正答数が報酬金額にどう影響を与えるかを予想してもらった。

 すると彼らは、報酬が増えれば誤魔化しをする数も増えると予想した。つまり合理的犯罪モデル(SMORC)と同じ考えだったわけだ。

 では結果の方を見て行こう

 

結果

 

 残念ながら彼らは間違っていた。誤魔化しの大きさを調べたところ、協力者は一問正解するごとに得られる金額の大きさは関係なく、平均で2点ほど上乗せしていた

 それどころか、正答一問につき10ドルという最高額を約束された時には、誤魔化しがむしろ少なめだった。

 なぜ報酬が最も高い時に誤魔化しは少なかったのだろうか?このように不正が報酬金額に与える影響が少ないことを考えると、不正は費用便益分析の結果として行われるわけではなさそうだ。

 なぜなら費用便益の考えで行けば便益(報酬の額)が大きくなると誤魔化しも増えるからだ。

 思うに、一問正解して得られる金額が10ドルだったら、職場から鉛筆を一本失敬するの程度の誤魔化しではなくなる。ペンやホッチキスを何箱か頂戴する、コピー用紙をごっそり盗むといった行為に近くなり、目をつむったり正当化したりするのがずっと難しくなるからだ。

 

見つかる確率が高まると誤魔化しは減るのか?

 

 誤魔化しが高いと協力者が感じたとき、何が起きるかを調べてみた。簡単に言えば、頭の中で防犯カメラを部分的に作動させるような仕組みを、実験に組み込んだ。

 

実験

 一つ目のグループには、作業用紙を半分だけシュレッダーで破棄してもうらと説明した。つまり誤魔化しをした場合、尻尾を掴まれる可能性があるわけだ。

 二つ目のグループには、作業用紙の全体を破棄するように指示した。この場合は無罪放免で逃げおおせることになる。

 三つ目のグループには、作業用紙、作業用紙を破棄してから、試験会場を出て、紙幣と小銭が100ドルつまった大きなボウルから、自分で報酬をとってもうらことにした。

 さてこの時も別のグループに、各条件で協力者が平均して何問正解したと申告するかを予想してもらった。するやはり、合理的犯罪モデル(SMORC)の予想するとおりの、見つかる確率が下がるにつれて、協力者が申告する正解数は増えると予想したのだ。

 

結果

 

 結果はこの時も、大勢の人が誤魔化しをしたが、その量はちょっとづつだった。その誤魔化しは三つのグループで変わらなった。

 そこで二人の研究アシスタント、エイナフとタリを加えて実験した。

 やり方は殆ど変わらないが、試験の監督と現金の入ったボウルをアシスタントの二人に交互に持ってもらった。

 ちなみに、一目でエイナフは目が不十分だと分かるので、その気になれば試験で誤魔化してもボウルからお金を沢山取ってもバレない。

 しかし、結果はタリもエイナフのどちらでも、ちょっと多めに金額を取ったが、正答数の誤魔化しの量は変わらなった。

 これらの結果は、見つかる確率が誤魔化しの量に大きな影響を与えないことを示している。もちろん、人は見つかる確率に何の影響も受けないと言ってはいない。第一、警官がすぐそばに立っているのに、車を盗もうとする人はいない。だがこの結果からは、見つかる確率が私達の思っているほど、影響を及ぼさないことをが分かった

 

終わりに

 

 私達は往々にしてズルをするけど、それはバレない小さな範囲であることが殆どだ。ダン・アリエリーの実験では、いろんな視点から条件を加えてズルの可能性と発生原因を見せてくれた。そして注意すれば、防げる可能性も示唆されている。

 この他にもズルに関する新たな事実があり、続きを知りたい方は下記のAmazonリンクから「ずる、嘘と誤魔化しの行動経済学」をクリックして購入して見てください。それでは!!

 

 この文は「ずる、嘘と誤魔化しの行動経済学」から大部分を引用と参考にして制作されています。

 

  

 

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